「俳優・梅宮辰夫」の評価を考える人が少ないのが残念 “演じている感”を感じさせない不思議な役者

引用元:スポーツ報知

 映画「不良番長シリーズ」「仁義なき戦い」などに出演した俳優の梅宮辰夫(うめみや・たつお、本名・辰雄)さんが12日午前7時40分、慢性腎不全のため神奈川県内の病院で死去した。81歳だった。1958年に芸能界入りして映画、ドラマなどで活躍。料理好きとしても知られた。90年代は長女のタレント・梅宮アンナ(47)の交際に反対するなどして注目された。がんを6度経験。闘病しながらも生涯現役を貫いた。葬儀は近親者のみで行い、後日、お別れの会を行う。

 人生の後半はプライベートばかりがクローズアップされ、「俳優・梅宮辰夫」としての評価を考える人が少ないのが残念だ。はっきり言えば、摩訶(まか)不思議な役者だと思う。なぜなら“演じている感”を全く感じさせないからだ。どの役も地でやっているように見えてしまう。しかし、それだけ変幻自在だったとも言える。

 父が医師で、自身も医学生を目指せるほど当時としては恵まれた家庭で育った背景か。ヤクザ映画などでアウトローな役を演じてもこの人が演じると下品にならない。醸し出す品あるたたずまいは、本人も自覚していなかったかもしれない。

 美食家としての繊細な味覚は、演じる上での研ぎ澄まされた感性にも反映されていた。梅宮さんにとって食材を生かして一品の料理をつくることと撮影は同じだったのではないか。一貫した力みのない芝居に俳優としての真価を見る。(内)

報知新聞社