怒れる官僚が決死の告発 映画「オフィシャル・シークレット」は日本人がいま見るべき一作

怒れる官僚が決死の告発 映画「オフィシャル・シークレット」は日本人がいま見るべき一作

 法律をもぶち破って暴走する悪辣政権と、それに右に倣えで、まるで支配下にある大手メディア。この歪み極まりない状況に迫った話題の映画「新聞記者」に続き、注目を集めているのが、「オフィシャル・シークレット」である。

 舞台はイラク戦争開戦前の英国。通信傍受や暗号解読にあたる同国諜報機関GCHQ(政府通信本部)の女性分析官キャサリン・ガンは、米NSA(国家安全保障局)が根拠なき武力行使を正当化するためと国連安保理理事国の代表団を盗聴し、その違法なスパイ行為に従うよう促した、「最高機密」指定で一斉転送されたメールを自席で受信する。

 職員は機密守秘義務があり、政府を最も忖度すべき立場だ。しかし、「自分たちには、すべての情報を知る権利があるというのは完全な思い上がり。この不法な戦争を止めなければならない」とキャサリン分析官はキャリアを賭して内部告発に踏み出し、情報をメディアにリークすることを決める。

「そして執拗な犯人捜しのなか、自ら名乗り出て、『私は国民に仕えている』と主張したのです。それでも開戦は防げず、キャサリンさんも解雇された上、国家機密漏洩容疑で逮捕されてしまいます。ただし『キャサリン・ガン事件』として米英政権を揺るがす政治問題となり、暴走政権を食い止めようとした勇気ある告発として、今も世界で語り継がれているのです。それが映画化され、今の日本で公開されるのはタイムリーだと思います」(宣伝スタッフの山崎裕希子さん)

 キャサリンさんは、この告発によってプライベートすら危うくなるが、それでも「全く後悔していない」と裁判でも同じ主張を貫こうとする。さて、どんな結末を迎えるのか。

 映画「新聞記者」は、東京新聞の望月衣塑子記者の著書が原案で、若手エリート官僚も主人公の記者に歩調を合わせていく。現実の記者も官僚も、日本でもいい加減立ち上がるときではないか。国民はそのときを今や遅しと待っているはずだ。

 映画は5月22日(金)から全国公開。