中江有里32年目の初ライブ 27年ぶりアルバムも

引用元:日刊スポーツ
中江有里32年目の初ライブ 27年ぶりアルバムも

女優で作家、コメンテーターとしても活躍する中江有里(46)が、13日に東京・渋谷の「JZ Brat」でデビュー32年目で初のライブ「R■aliser」を開く。

89年に雑誌「アップトゥーボーイ」の美少女コンテストに優勝して、JR東海のCMでデビュー。91年にシングル「花をください」で歌手デビュー。93年までにシングル5枚、アルバム2枚をリリースした。

一方で女優として92年に映画「奇蹟の山」、日本テレビ系「奇麗になりたい」、95年にNHKテレビ小説「走らんか!」に主演するなどして、自然と歌手活動からは遠ざかった。その後は、02年にラジオドラマ脚本「納豆ウドン」がNHK大阪主催の脚本賞入選、06年には「結婚写真」で小説家デビューした。

歌手復活のきっかけは92年のシングル「真夏の楽園」の作詞家・松井五郎氏(62)との出会いだった。17年12月に松井氏が作家売野雅勇氏(68)と開いたトークショーを聞きに行った。「お目にかかったことがなくて、顔も知りませんでした(笑い)。こんな人となんだと思いながら、勇気を出してごあいさつにいきました」と振り返る。

昨年1月に出版した小説「残りものには、過去がある」を送ると、松井氏から感想を詩にして贈られた。6月に出版した小説「トランスファー」では、松井氏に本の帯に使う詩を依頼した。

昨年9月に松井氏のトークショーにゲストとして呼ばれた際、その1カ月前に「トランスファー」をモチーフにした「名前のない海」という新曲が送られてきて、歌うことを勧められた。中江は「うれしい気持ちととまどいの気持ち、半々でした。でも、松井さんの気持ちに応えようと歌うことに決めました。すごく緊張しましたが」。26年ぶりに人前で新曲の「名前の-」と、「地上の-」の2曲を歌った。

歌ったことで変化が起きた。「私の中で、歌は10代のある時期で終わってしまって心残りでもあった。でも、ある種の再会を果たして、自分の中で、もう1度挑戦してみたいという気持ちがわき上がりました」。トークライブが終わった、その日のウチに松井氏に「歌を歌いたい」と告げていた。

そこからは初のライブ開催が決定。現在はレッスンを続けなから、27年ぶりとなるアルバムの制作も進行中だ。

「歌って言うのは、体を使うものなんだなと実感しています。アルバムは全くの新曲を10曲くらい作ってある」。ライブでは新曲以外に、昔の曲も歌う予定だ。「当時はできなかった解釈で歌えると思います。昔は歌と、どう向き合っていけばいいか戸惑いがあったけど、今は自分から飛び込んでいけます」と笑顔を見せる。

女優、小説、コメンテーター、そして歌手。「やっていることは全部、表現なんだと思っています。どれも1つ1つを、やりたいと思ったからやっている。片手間でやっているつもりはありません。ものごとをマルチにやっていると、1つのことを突き詰める職人的な見方から、マイナスに思われてしまうこともある。でも、やりたいと思う気持ちを、やれる状況の中で、どのように表現するかということに限界は作りたくない」。

この先も歌は続けていきたいという。「やりたからできるわけじゃない。いろいろなタイミングで、私を支えてくれる方がいる。キャリアを積み重ねてきて30年以上たって、新たに挑戦できるのは幸せですね」と話している。

※■はアキュートアクセント付きE小文字

◆中江有里(なかえ・ゆり)1973年(昭48)12月26日生まれ、大阪府出身。89年JR東海のCMでデビュー。90年TBS「なかよし」で女優デビュー。91年シングル「花をください」で歌手デビュー。92年日本テレビ系「綺麗になりたい」で連ドラ初主演。95年NHK連続テレビ小説「走らんか!」でヒロイン。02年脚本「納豆ウドン」で「NHK大阪ラジオドラマ脚本懸賞」最高賞。13年に法大通信教育部文学部日本学科を卒業。今年4月に公開予定の映画「海辺の映画館-キネマの玉手箱」(大林宣彦監督)に出演する。