松岡茉優、本心は「自分に自信がない」 支えになっている仲間の存在:インタビュー

引用元:MusicVoice
松岡茉優、本心は「自分に自信がない」 支えになっている仲間の存在:インタビュー

 松岡茉優(24)が、映画『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』(2月21日公開)にゲスト声優として出演する。演技力で高い評価を受ける彼女だが意外にも「自分に自信がない」という。アニメーション映画声優としては本作が5作目となるが「祈るような気持ちでマイクの前に立っています」。そうした壁に当たった時に指針となるのが先輩や仲間の存在。そうした姿からは、仲間との絆や困難でも前に進む勇気を描く本作シリーズにも重なる。「私を作ってくれた作品」とも語る「デジモン」。松岡茉優の思いとは。【取材・撮影=木村武雄】

自信がない

 中学生の時に本格デビュー。2013年放送のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』で一躍脚光を浴びた。2017年には『勝手にふるえてろ』で映画初主演を務め、2018年にはカンヌ映画祭パルムドール受賞作『万引き家族』に出演。高い演技力を武器に存在感を高めてきた。

 バラエティ番組にも出演、機転を利かせたトークで場を盛り上げる。受賞式や舞台挨拶では後輩俳優が話しやすいように話題を振る。フラッシュを浴びる堂々たる姿は自信に満ち溢れているようにも見える。しかし、本心は違った。

 「自分に自信がない所が嫌いで…。だから自信があるように見えると言って下さるのは嬉しいです。私自身はいつまで経っても自信がなかったり、仕事を自分で正しく評価できないことがコンプレックスで…。いつまで自分の事が嫌いなんだろうと思う時があります」

 松岡がアニメーション映画で声優を務めるのは本作が5作目。しかし、自身が抱える「不安」は消えない。

 「マイクに声が乗らなくて…。映像のお芝居ではOKが出るラインでも、声のお芝居では出ないことがあって。それは私の技術不足で、いつもやっている事では全く太刀打ちできなくて。声の仕事を頂いた時は祈るような気持ちでマイクの前に立っています」

 映像作品でも初号試写は「人生で落ち込む瞬間」だと過去に語っていた。本作でも「私が出ているシーンは気になってしまいますし、私で良かったのかなと思いながら見ていました」。だが、それを超えた感情が湧いた。「デジモンのファンで良かった」。

 小さい頃から見ていた。「ビデオテープが擦り切れる程繰り返し見ました。“優しさ”や“強さ”、“痛み”を教えてくれた“私を作ってくれた作品”です」。

 『デジモン』には、太一らデジモンとの絆、そして困難な状況でも諦めないで立ち向かっていく姿が描かれている。「私は立ち止まって過去を振り返るタイプ」という松岡もその姿に勇気をもらった。そして太一にかけがえのない仲間がいるのと同じように、松岡にとっても「先輩」や「仲間」は大切な存在だ。

 「『そういう考え方があるんだ』『この人みたいになりたい』と思う先輩や仲間がいます。気持ちが揺れてしまう、どう対処したらいいか分からない場面に遭遇した時に『この人だったらこうするかもしれない』『あの人だったらこう対処するかもしれない』と想像できる、または自分が慌てているときに落ち着かせてくれる存在は、この仕事を通して出会えたお陰でもあって、感謝しています」

 指針となる仲間の存在。そして、音楽も松岡にとって大事な存在だ。

 「私にとって音楽は絶対になくてはならないものです。取材の時も小さく音楽をかけてもらっています。初めて会う方は緊張しますし、会話の沈黙が苦手で無音だと焦ってしまってその間を埋めたくて言葉が先走ってしまうこともあります。音楽がかかっていると考えるために黙っていても音楽が二人の間をもってくれますから私にとっては大事な存在です」

 「間を埋めたい」、それは相手につまらない思いをさせたくない、待たせてはいけない、という一つの思いやりなのかもしれない。

 そんな松岡には過去の発言で「私、こんなことを言っていたんだ」と驚くこともあるという。「もう少し年を重ねれば、考え方のブレ幅は少なくなっていくと思います」と笑顔を見せる。ただ、考え方のブレはそれだけ作品、役に向き合ってきた証とも言える。「不安」を払拭するために考え尽くす。その積み重ねが、人として、役者としての“深み”になる。

 本作の舞台は、太一とアグモンたちが出会い、デジタルワールドを冒険した夏から10年以上が経過した2010年。太一は大学生になった。松岡が声を演じるのは映画オリジナルのキャラクターで学者のメノア。彼女自身も葛藤を抱えている。

 「前進するにはパワーがいるし、簡単なことではないと思っています。だからこそメノアの気持ちは理解することが出来て…。観ている方もメノアの気持ちに共感して頂けると思います」

 「技術不足があった」と謙遜する松岡だが、共感するメノアに自然と感情移入することができたという。どのような思いでアフレコに臨んだのか。ここからは一問一答。