頑張ってるんだな… 海外を飛び回り改めて考えた「日本人のこと」

引用元:夕刊フジ

 【サニー齋藤の日付変更線の向こう側】

 ロス、東京、ミャンマー、東京、ロス、ハワイ、ロス、東京、ロス、東京とこの数カ月の間出張が多かった。

 ハワイは10日間滞在して撮影と不動産の両方の仕事だった。ハワイではお客さまからお預かりしたトランプ・タワーの高級物件を内覧。ワイキキビーチやダイヤモンドヘッド、夕日が沈む地平線が眺められる素晴らしい物件だ。その翌日にあった撮影は、偶然にもその物件の1階上のペントハウスユニットだった。

 「ハリーアップ&ウェイト(急いで待て)」。ハリウッド撮影でよく聞く言葉だ。役者は常に早く準備をすませて、長い時間待たされる。自分のトレーラー(待機室)で時間を潰し、テレビを見ているとトランプ大統領の弾劾に関する報道ばかり。なぜ日本ではほとんど報道されていない。

 最終撮影はダイヤモンド・ヘッドのクレーターの中。夜中3時に終わりホテルに直行、朝5時に飛行場に向かうが台風19号が日本を直撃し、飛行機は欠航。急遽行き先をロスに変更し、3日遅れで日本に帰国。

 その数週間後には、ロスでの撮影が入り、夜中のフライトで向かうが、ロスについた直後、サンタ・クラリタ(ロスから約30分ほど北に行ったマジック・マウンテン遊園地のあるところ)の高校で生徒3人が拳銃で殺害されるというニュース。

 アメリカの高校生は、いつ拳銃で襲われるか分からない中、登校しなければならないのか。そんな思いを抱いていると、翌日、衣装合わせにいった場所がなんとサンタ・クラリタ・スタジオ。高校から3分のところだった。帰りに現場を訪れ、冥福を祈ってきた。

 ロスでの撮影を終え、今度は日本での収録のために昨夜日本入り。これから5日間、ロスの俳優仲間と収録し、またロスにとんぼ返りだ。

 役者として、高級不動産会社の責任者として、日本人として、地球人として、さまざまな国、文化、人間と関わってきた。でもやっぱり今回日本に戻ってきて、同年代の人たち、満員電車の中で肩を合わせる方々、「頑張ってるんだな」と心から思う。長くても後数十年の人生、いろいろな体験をして、子供たちに愛を与え、スマイルでお墓に入れればいいな。

 ■サニー齋藤(さにー・さいとう) 本名・齋藤聖一。1964年10月6日生まれ、55歳。東京生まれ。学生時代を香港、アメリカで過ごす。大学卒業後、メリルリンチ証券、ドレクセル・バーナム証券を経て、クリスティーズ社の日本不動産部門社長に就任。また、俳優としても海外ドラマ「SWAT」、「HAWAII FIVE-O」、「WESTWORLD」などに出演している。=おわり

 12月24日発売の「GOETHE」(幻冬舎)の「相思相愛」コーナーに登場する。