アニメの声優はどう選ばれている? 意外と知られていない、必須スキル

引用元:マグミクス
アニメの声優はどう選ばれている? 意外と知られていない、必須スキル

 とある声優事務所の方によると、声優志望者は日本全国に「常に」およそ3万人いるのだそうです。確かな裏付けがあるわけではなさそうですが、実感としてうなずける数字ではあります。とりわけ、女子中高生にとっては、歌手・俳優などとあわせて、将来やりたい職業のランキング上位に入るほど人気の仕事(※)。専門学校やワークショップのような集まりも、数えきれないほど存在しています。

【画像】憧れの職業「声優」、アニメの役を得るのは激戦区(5枚)

 3万人といえば、ちょっとしたサッカースタジアムなら満席になる人数です。そのなかでも、事務所に入れるのはひと握り。もし入れたとしても、そこで頭角を現さなければ、アニメのオーディションに呼ばれることさえありません。さらに、実績や営業力のある事務所とそうでない事務所とでは、オーディションのお知らせ自体をもらえる確率に、顕著な違いがあります。

 オーディションのやり方は個別に異なりますが、「テープオーディション」「スタジオオーディション」の2種類を組み合わせて行っているようです。

 例えば、そのアニメの収録が、毎週金曜日の16時から3時間にわたって行われるとします。キャスティングを担当する音響制作は、その時間に収録が可能な方という前提で、さまざまな事務所にオーディションのお知らせを送ります。どうしてもスケジュールが合わない場合は、別日に抜き録りを行うという方法もありますが、それはあくまで例外的なもの。アニメであれば、マイクの前に立って掛け合いのお芝居をするのが基本です(逆にゲームの場合ですと、マイクの前に座ってひとりで録るのが一般的です)。

「役に合った声で」「実力があり」「出演できた場合のギャラなどを含む諸条件がクリアできて」「収録のスケジュールも都合がつけられる」声優を、ひとつの事務所だけでまかなえるわけがありません。ですから、「御社から何人をスタジオオーディションに出してください」という人数制限付きで、色々な事務所にお声がけをするわけです。テープオーディションを行う場合は、その前段としての足切りの手段にしています。

 メインキャラ以外の役など、オーディションではなく指名の場合もありますが、これからキャリアを積まれる方は、そこに期待すべきではないでしょう。声優にとって、まずはオーディションに合格してメインキャラの役を獲得することが、人気と地位を確立するための、ほぼ必要条件になっているからです。

※参考:2019年8月6日発表、ソニー生命「中高生が思い描く将来についての意識調査2019」
https://www.sonylife.co.jp/company/news/2019/nr_190806.html