「スター・ウォーズ」の「地の利を得たぞ!」シーンが生まれたのは、アナキン役の俳優が「坂を上るのが嫌い」だったから

引用元:IGN JAPAN
「スター・ウォーズ」の「地の利を得たぞ!」シーンが生まれたのは、アナキン役の俳優が「坂を上るのが嫌い」だったから

IGNでは「スター・ウォーズ」の数々の印象深いライトセーバーバトルを振り返る動画シリーズ「Breaking Down the Duels」を連載している。
『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』を取り上げる回では、ユアン・マクレガー演じるオビ=ワン・ケノービと、ヘイデン・クリステンセン演じるアナキン・スカイウォーカーとの激しいバトルの舞台裏に迫る。惑星ムスタファーでのエピックな戦い、そして印象深いセリフ「地の利を得たぞ!」(「私の方が有利だ」と訳されることも)がどのように生まれたのか、ビジュアルエフェクト・スーパーバイザーのジョン・ノール氏とスタントコーディネーターのニック・ギラード氏に話を聞いた。
アナキン対オビ=ワンのライトセーバーバトルの終盤では、オビ=ワンが岸辺にジャンプし、「It’s over, Anakin. I have the high ground!」(「終わりだ、アナキン! 私の方が有利だ!」)と言い放つ。しかし、気性の激しいアナキンは負けを認めず、元師匠を飛び越えようとするが、その途中でオビ=ワンに手足を切り落とされてしまう。身動きが取れなくなったアナキンは坂を転げ落ち、溶岩に焼かれる。プリクエル・トリロジーを通して育まれてきた友情に終止符を打つ、悲しく、残酷な瞬間だ。しかし、「スター・ウォーズ」シリーズ全体に大きな影響を与える重要な場面であるにもかかわらず、このシーンには笑える制作秘話があるのだという。

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ギラード氏は『シスの復讐』の製作中、自身とヘイデン・クリステンセンがオーストラリアで隣同士に住んでいたことを振り返った。「(ヘイデンと)毎日のように高台にあるレストランで一緒に食事をしていた。行き方は二通りあって、(緩やかな)道路を一度上がってから下りるルートか、急勾配の土手を上がるルートがあった。私は最短の行き方が好きなので、いつも土手ルートにしていたけど、(ヘイデンは)坂を上るのが大嫌いなんだ。だから私は『高所が有利』という発想があった。坂の上からアナキンを迎え撃てば、オビ=ワンは勝つだろうと思ったんだ」とギラード氏は説明している。
お分りいただけただろうか、「スター・ウォーズ」ファンの諸君。俳優とスタントコーディネーターのちょっとした内輪ネタから、アナキン・スカイウォーカー/ダース・ベイダーのキャラクターを定義し、ネット上でもっとも有名なミームのひとつになった「スター・ウォーズ」の名場面が生まれたのだ。
ギラード氏はアナキンとオビ=ワンの戦いの裏側についてさらに詳しく語り、スタントコーディネーターとして最も難しかった側面を教えてくれた。

「『シスの復讐』の決闘で一番難しかったのは、その長さだ。12分もあるバトルで、ジョージはそれを完全な形で見せたかった。だから1キロも移動しながらのバトルのやり方を、2人の俳優に教えなければならなかった」とギラード氏は説明している。
過去のライトセーバーバトルでは、俳優の動きを実際よりも速く見せる編集をしなければならなかったが、ジョン・ノール氏によると、マクレガーとクリステンセンは振り付けを完璧にマスターしていたので、そのようなトリックは必要なかったという。
「(『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』以降)、ユアンの動きを速く見せる編集は全くしなかったと思う。ヘイデンもプライドを持って、ユアンのペースに付いていこうとした」とノール氏は振り返っている。
オビ=ワンとアナキンが同時にフォース・プッシュを行い、その衝撃で2人とも吹き飛ばされる場面を覚えているだろうか? ギラード氏によると、あの場面には別バージョンも存在したという。
「あのシーンには別の結末を用意していた。彼らはライトセーバーをお互いの体に直接突っ込んで、その衝撃で2人が吹き飛ばされるという展開をね」とギラード氏。

オビ=ワンはアナキンの手足を切断するが、それは彼の望みではなかった 。 ギラード氏は、オビ=ワンがアナキンの体力を削ぎ、落ち着かせてから説得しようとしているように見せたかったと話している 。 「ケンカをする夫婦のような振り付けを考えた 。 アナキンはオビ=ワンがパドメと不倫をしているかもしれないと勘違いしていて、つまり、すでにダークサイドに堕ちていた 。

「スター・ウォーズ」の「地の利を得たぞ!」シーンが生まれたのは、アナキン役の俳優が「坂を上るのが嫌い」だったから – Part 2

オビ=ワンはただできるだけ長く粘って、アナキンが戻ってきてくれることを願っているんだ」とギラード氏は語った 。 そのほか、ユアン・マクレガーが「『スター・ウォーズ』史上最高」と語る『ファントム・メナス』のライトセーバーバトルや、もともとヨーダは登場しないはずだったという『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』のライトセーバーバトルの解説動画も忘れずにチェックしよう。 Joshua Yehl