引用元:スポニチアネックス
◇第69期大阪王将杯王将戦 7番勝負第6局第2日(2020年3月14日 佐賀県上峰町・大幸園)
【明暗この一手 関口武史】初日と変わり指し手が進まない2日目、抜け出したのは広瀬だった。
昼食明けの▲8五角が敵陣をにらむ好手、続いて▲4一銀が厳しい追撃。控室の評価も広瀬良しで固まる。渡辺も銀を打たれた瞬間の表情は苦悶(くもん)にゆがみ、力なく△7四歩と角道を遮ると視線が泳ぐ。
しかし▲3二銀成を見て渡辺の目に再び生気が宿る。間隙(かんげき)を縫って踏み込む△5六角(A図)が攻守を逆転させる鋭い切り返し。飛車取りの放置に加え飛車成りを受けない強烈な一手だ。
▲3二銀成に代えて▲3二銀不成が良く△5六角に▲3一銀不成△2九角成▲7五桂と挟撃を築く手が有力な変化だった。一瞬で体を入れ替えた渡辺は、粘る広瀬を振り切り逆転をおさめた。
劇的な展開で最終局にもつれ込んだ。(スポニチ本紙観戦記者)