川口春奈「最後まで賢い帰蝶を」大河ドラマ『麒麟がくる』で斎藤道三の娘を好演

引用元:TOKYO HEADLINE WEB
川口春奈「最後まで賢い帰蝶を」大河ドラマ『麒麟がくる』で斎藤道三の娘を好演

 大河ドラマ『麒麟がくる』の川口春奈が好評だ。斎藤道三の娘・帰蝶を、凛と、そしてはつらつと演じている。8日放送の第8回「同盟のゆくえ」で織田信長に嫁ぎ、今後は信長と光秀、尾張と美濃の間で、キーとなる存在になっていく。川口は「最後まで賢い帰蝶をやっていけたら」とキリっとした表情を見せる。

 着物にかつら、これまでに携わってきた作品にはなかった所作の指導。川口春奈にとって『麒麟がくる』の現場は、初めて尽くしだ。大河ドラマが初めてなら、時代劇も初なのだから、それも当然。

「着物を着てかつらをかぶってお芝居をする。そこから不慣れで。いまでも慣れているのか分からないところなんですけど、すべてが新鮮です。セットの一つひとつにしても、ロケに行くにしても、ものすごいスケールで、たくさんの方が関わっていることを日々実感しています。戦国時代でお芝居していることも不思議な感じで、いまだにすごいところにいるなと思います」

「メイクや衣装はひとつのスイッチになる気がしている」という川口。日々、そのスイッチを入れて帰蝶を演じている。本木雅弘の熱演で話題を集めている美濃のマムシこと、斎藤道三の娘。一癖も二癖もある道三の血をひく彼女は、いわゆる戦国時代のお姫様のイメージとは異なる。はつらつとしていて、行動派。見ていて清々しい。

「激動の時代を生き抜いた女性。すごく芯が強いし、とっても賢くて、のちには信長をコントロールしたりもします。“凛としていて、強さもあって、自分の芯がぶれない女性を演じてほしい”と言われたので、その事をを心がけて演じています」

 長谷川博己演じる明智光秀とは幼なじみのような間柄。同じ画面に登場するシーンでは、歯に衣着せず、奔放に言葉を交わす。それゆえに8日放送の「同盟のゆくえ」では、切なさが増幅した。帰蝶は密かに想いを寄せている光秀に、尾張の信長に嫁ぐよう背中を押してほしい、と言うのだ、瞳が涙で曇っているのを悟らせないように。

「生まれたときからの自分の使命というか宿命というか。光秀と離れなきゃいけない切なさもあったかもしれないけれど、断ることもできない。(光秀に)止めてほしいという思いもあったと思います。そんな彼に行っておいでって言われて……。切ないなと思いながら脚本を読みました」。
 
 とはいえ、行かないわけにはいかない。それが、この時代。すっと背を伸ばし、凛とした表情で尾張に向かった帰蝶の姿は印象的だった。

 信長は染谷将太が演じている。「信長も信長でキャラが濃くて面白い」と、川口。「子どもらしい天真爛漫な部分があったり、潔く物事を決める瞬間があったり。帰蝶もそうですが、いろんな顔があって新鮮です」。

 帰蝶はそんな信長に次第に心を開いていく。

「入り口では、なんだこの人はってことを思いますが、信長が育ってきた環境や信長とお母さんとの関係を聞いていると切ないものがありますし、帰蝶と通じるものもあるのかなと思います。いつもはヘラヘラケラケラしているけれど、やることは大胆なんですよね。そこにひかれていくのかなと思います」

 妻として迎えられるものの要は人質。その一方で、父のいる美濃との橋渡しでもあって、たくさんのものを背負っている。

「すごく難しい立場だと思うんです。帰蝶には使命があるので、家族でありながらも、(義父の織田)信秀に対しても、自分の父に対しても、いろいろ考え、企みを持ちながら、物事を賢く考えて遂行していく。そこを意識して演じています」

 帰蝶も、信長も、そして光秀も、少年少女の時代を過ぎて、ここからどんどん大人になっていく。それと同時に、戦国の時代の渦のなかに否応がなしに巻き込まれていく。

「少し先の脚本を読んでいるんですけど、そのなかでも衝撃的なことが平然と起こっていて、えーっ!と気持ちがついていかなかったりするんです。そういう激動の時代だからこそ、最後まで賢い帰蝶をやっていけたらと思う」

 大河ドラマもスタートから約2カ月が経ち、舞台は徐々に歴史の教科書にもしっかりと記されている戦国時代のど真ん中へと突入していく。
 
「帰蝶は間違いなく自分を成長させてくれる役だと思いますし、何もかもが挑戦。それに自分のことを知らない方たちにも見ていただけて、自分を知ってもらえる機会。一生懸命やるのみです。そして終わった時に、いい作品になっていて、自分自身もいろんなものを吸収できていたらいいなと思っています」

『麒麟がくる』は、毎週日曜、NHK総合で午後8時、BSプレミアム午後6時、BS4Kで午前9時。再放送もある。
  

(TOKYO HEADLINE・酒井紫野)