くまモン、“神対応”学び続けた10年 開拓した「寄り添う」キャラクター像

引用元:オリコン
くまモン、“神対応”学び続けた10年 開拓した「寄り添う」キャラクター像

 今や国民的に愛されるキャラクターとなった熊本県の「くまモン」が、2010年3月のデビューからまる10年を迎えた。地元熊本から関西~全国、そして世界へ活動の場を広げ、ご当地キャラクターに“できること”が無限であると示した功績は、言うまでもなく大きなもの。「100年後も愛されるキャラクター」を掲げた最初の10年、ここまで広く愛されたのは「くまモン自身がさまざまなことを吸収し学んでいった結果」であると、熊本県知事公室くまモングループ課長の浦田美紀さんは話す。

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■熊本地震で気付かされた県民との絆

 九州新幹線の全線開通に伴い熊本をアピールするため、小山薫堂氏の「くまもとサプライズ」運動から水野学氏のデザインを経て、2010年3月にデビューしたくまモン。最初は大阪など関西を中心に“神出鬼没”なPR活動を行い、特にSNSを駆使したプロモーションは当時とても斬新だった。

 例えば大阪で1万人に名刺を配る企画では、嫌になったくまモンが途中で失踪。熊本の蒲島郁夫知事がくまモンを探してほしいと会見で呼びかけ、目撃した人たちが「#くまモン」でツイッター上に情報拡散させていったという仕掛けも、今となってはご当地キャラクター界の“伝説”である。

 「SNSはお金がかからないのが一つ“やりやすさ”だったんです 。知名度がないくまモンに対して大きな予算をかけるわけにもいかず、お金が無いなか様々な人が知恵を出し合った。決してSNSに特段強い人がいたわけでもないので、試行錯誤しながらでした」。ハンデを逆手にとった攻めの姿勢はご当地キャラのPR方法に一石を投じた。2011年には早くも『ゆるキャラグランプリ®』で1位に輝く大出世を遂げたこともあり、当時はキャラクターとしてのクリエイティブ面やこうしたSNSマーケティングの成功例として特に注目を浴びた印象が強い。

 一方で、くまモンは“人とのふれあい”というある種アナログな部分を10年せっせと磨き続けてきた存在でもある。その真価を証明したのが、2016年4月に発生した熊本地震以降の活動だ。

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