再来日した『パラサイト』ポン・ジュノ監督、新型肺炎は「心理が作り出す不安や恐怖が深刻」

再来日した『パラサイト』ポン・ジュノ監督、新型肺炎は「心理が作り出す不安や恐怖が深刻」

 外国語映画として史上初めて米アカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』(全国公開中)のポン・ジュノ監督と主演のソン・ガンホが再来日し、23日、東京・日本記者クラブで会見を行った。日本のファンに向けた感謝や偉業を成し遂げた喜びを語った。

日本へ向けたキャストメッセージ映像『パラサイト 半地下の家族』

 第92回アカデミー賞では作品賞のみならず監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を制し、歴史的快挙を成し遂げた本作。半地下住宅に住む全員失業中のキム一家が、ひょんなことから接点を持った裕福なパク家に寄生していくさまを描いたブラックコメディーで、2月22日時点で興行収入30億円、動員220万人を突破。『私の頭の中の消しゴム』(2004)を抜き、日本における韓国映画の歴代興収1位の記録を更新した。 カンヌ国際映画祭パルムドールやアカデミー賞受賞など、世界中で大きな反響を呼んでいる本作。ジュノ監督は「韓国国内だけではなく、フランス、ドイツ、アメリカなど、多くの国々で熱い反応を示してくれたことがとてもうれしいです」と笑顔を見せると、「日本でも1月頭に公開され、観客の皆さんがたくさん劇場に足を運び、熱い思いを伝えてくださっていると聞いています」と感謝を述べる。 再来日した『パラサイト』ポン・ジュノ監督、新型肺炎は「心理が作り出す不安や恐怖が深刻」 日韓交流に思いを馳せたソン・ガンホ  ガンホも「日本でも歓迎していただき、興味深い映画として受け入れてもらえたことはうれしい」と語ると、「2000年代初期は、日本でも韓国映画が多く紹介されていましたが、その後は、近い国であるにも関わらず、交流が薄まってしまっていました。今回の映画がきっかけで、互いの素晴らしい作品に関心を持ってもらえるようになれば……」と思いを馳せていた。

 世界各国で作品が受け入れられたことについて、ジュノ監督は「いろいろな反応をわたしなりにまとめると“貧富の差”がいまの時代に刺さっているという意見が多い」と前置きしつつも、「でも格差というのは、観ている人に居心地の悪さを与えるかもしれないと思っています。わたしはそのこと以上に、予測不能なストーリー展開が、作品を熱狂的に支持してもらえる大きな理由だと考えています」と述べた。

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