カブキロックス氏神一番さん 還暦を機に「2025年までラスベガス公演」を決意

カブキロックス氏神一番さん 還暦を機に「2025年までラスベガス公演」を決意

【死ぬまでにやりたいこれだけのこと】

 カブキロックス 氏神一番さん(60)

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 “イカ天”から誕生したロックバンドとして人気になり、30周年を迎えたカブキロックスの氏神一番さん(60)。歌舞伎メークと過激さは健在だが、還暦を迎え、新たな決意を語る。

 元禄3年生まれ。拙者は現世では昨年、還暦を迎えました。「平成名物TV 三宅裕司のいかすバンド天国」にはアマチュアとして出演し、カブキロックスとして90年5月21日にメジャーデビューして30周年になります。去年は休む間もなく127本のライブをやりました。

 老後は体が動かなくなる70歳から。体が動くうちにやれること、動かずにやれることを還暦を機に真剣に考えました。やりたいことは便箋に書いていて、数えたらちょうど100個。そのうち90個は達成して残っているのはあと10個です。

 でも、100個のうち最初の目標を実現していない。ラスベガス公演です。武道館で歌う夢はイカ天の時、アマチュア時代にかないました。これから東京ドームに5万人を集めてライブをやるのは無理だけど、ラスベガス公演なら実現可能です。25年までに必ずやります。

 90年にニューヨークでライブをやった時は「ジャパニーズ・キッス」と呼ばれました。キッスは歌舞伎メークで人気になったけど、日本の伝統文化を使ったものを向こうでやると受ける。ちなみに、キッスは紅白に出て話題になりました。紅白には出てみたいけど、ロッカー氏神はちょっとダサイかな(笑い)。

■70歳から茶道教室をやりたい

 茶道、日本舞踊も極めたい。母が日本舞踊の名取で拙者も名取なので歌舞伎座に5回出ています。茶道は習い始めたところです。千利休が好きです。将来は自宅を改装して(黄金の)茶室を造ろうと思っています。

 ロックは動の世界だけど、茶道や日本舞踊は静の世界です。これまで過去を顧みずに走り続けてきたけど、70歳くらいからは体が動かなくなる。でも、茶道、日本舞踊なら静の世界だからずっとやれる。瞑想する感じもいいですね。70歳からは茶道の教室をやりたい。心を落ち着けて無の状態で静かな余生を送りたいです。

 それから、極めたいのが落語。席亭・氏神一番で「氏神一番プレゼンツ お江戸寄席 渋谷ラママ」(きょう13日開催)を年に4、5回やっていて好評です。これはずっと続けたい。大金持ちになる夢はかなっていませんが、諦めました。もつ鍋店やレストランバーの経営は見事に失敗。1億円だまされましたから。

■ロッカーとしての理想は内田裕也

 拙者がいろんな目標を立てるのは別の理由もあります。野球選手や力士は現役をやめたら次がある。野球選手なら監督、解説者になるとか、力士は親方になるといった先の人生があります。でも、ロックンローラーとプロレスラーは死ぬまでロックンローラーであり、プロレスラーです。だから1曲1ラウンドのつもりで全力でやっているけど、体が動かなくなったら終わりですからね。

 ロッカーとしては内田裕也さんが理想です。裕也さんとはニューイヤーロックフェスティバルを25年一緒にやらせてもらい、息子のようにかわいがってもらいました。あれだけヤンチャしても最後までみんなに愛された裕也さんは立派。拙者もかぶく心を持つ者としてロックを続け、裕也さんみたいに死にたい。

 これまでライブは2000回を超えました。目標は3000回。3000回記念の時はファンを無料で招待して派手にやりたいと思っています。

 あと10年、その間にラスベガス公演を実現させやりたいこともやる。ビートたけしさんは羨ましがられるジジイじゃなく愛嬌のあるジジイで死にたいと言っていた気がします。死にざまは大切。カルロス・ゴーンみたいに晩節を汚したくない。終わりよければすべてよしでござる!

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)

▽うじがみ・いちばん 元禄3年4月3日、江戸時代の京都生まれ。ロックバンド「カブキロックス」リーダー兼ボーカル。江戸文化研究家。1989年「平成名物TV 三宅裕司のいかすバンド天国」(TBS系)でブレーク。90年「お江戸―O・EDO―」でメジャーデビュー。同年「全日本有線放送大賞新人賞受賞」。年間100本以上のライブを開催。