第92回アカデミー賞、美しきドレスを振り返る! 時代の先行く“こだわり”満載

第92回アカデミー賞、美しきドレスを振り返る! 時代の先行く“こだわり”満載

 こんにちは、ファッションスタイリスト&ライターの角佑宇子(すみゆうこ)です。毎年、この時期になるとやってくる世界的イベントといえば、やっぱりアカデミー賞! 受賞作品の行く末はもちろんですが、個人的にはそれ以上にレッドカーペットを彩る俳優や女優たちの美しい衣装を拝めることのほうが楽しみだったり……。というわけで、早速第92回アカデミー賞に登場した美しき俳優・女優たちの衣装についてチェックしていきたいと思います。(文・イラスト=角佑宇子)

【写真】スタイリストがイラストで解説!

■Diorをまとう、ナタリーポートマン

 クラシカルで上質なドレスが一番似合う、ナタリー・ポートマン。まさに正統派とはこのこと。今回注目された衣装は「Dior」のケープを羽織ったシースルードレス……というより、ケープの“刺繍”ですね。惜しくもノミネートを逃してしまった女性監督たちの名前を刺繍したのだとか。トロフィーはもらえずとも、女性たちの素晴らしい仕事ぶりを自分なりに讃えたかったというナタリーの美しい心遣いがホットトピックスになっています。

 黒のケープのインナーはブラックとゴールドを基調としたシースルードレスでケープの荘厳さを上手に引き立たせています。控えめだけど、強い意志を感じる衣装です。

■時代を象徴する、ジャネール・モネイの衣装は?

 女優そしてR&Bシンガーの顔を持つジャネール・モネイ。自身のセクシャリティについても赤裸々にカミングアウトし、時代を象徴する存在の彼女がこの日、身にまとっていたのは「ラルフローレン」のスワロフスキードレス。なんと、こちらのドレス16万8000個ものスワロフスキーが1つ1つ手作業で縫いつけられているそう。

 それだけの数のスワロフスキーがあしらわれているとあらば、とても重たそうにも感じますがジャネールは軽やかに着こなしていますね。とくにドレープのかかったヘッドピースはとても美しいです。ゴージャスなドレスに合わせて、メイクは至ってシンプルに。アイブロウとリップにポイントを際立たせて、控えめだけれどドレスが引き立つようなメイクになっています。

■もはや若手ではない実力派女優、シアーシャ・ローナン

 25歳という若さながら、すでに何度もアカデミー賞にノミネートされているシアーシャ・ローナン。この日は、前髪をバッサリとカットしてから初のお目見え! スタイルイメージはオードリー・ヘプバーンからインスパイアされたのだとか。

 衣装は華やかなペプラムデザインが美しい「GUCCI」のドレス。スマートで華奢なスタイルを持つシアーシャだからこそ似合うシルエットとも言えますね。この「GUCCI」のペプラムドレスは、少し前に行なわれた英国アカデミー賞で着用したドレスの切れ端を再利用して作られたのだとか。レッドカーペットを彩るドレスもサスティナブルへの意識がより強く高まっていますね。

■今年も攻めた着こなし!ティモシー・シャラメ

 昨年のアカデミー賞もさることながら、今年も攻めたファッションで会場を沸かせたティモシー・シャラメ。世界中が彼に注目するのは、演技だけでなくその型破りなファッションスタイルにもあるでしょう。今年はまさかのジャ、ジャージ!? と思わせるような風貌の「PRADA」のジップアップスーツで登場しました。男性のドレスコードはスーツという暗黙の掟を壊したシルエットはまさに粋。

 ジップアップスーツのラフな印象が強いものの、ジップから覗く、真っ白なドレスシャツ、足元はシンプルなレザーブーツ、外しテクに「カルティエ」のブローチというキメポイントは外さないというのがティモシー流の2020年的ドレスコードなのでしょう。

 普通の人が似たような格好をすれば、まさに体育の先生に陥るところですが、レッドカーペットにもマッチする見事に着こなしです。

 今回ピックアップした俳優・女優のファッションスタイルはまさに時代の先を行くこだわりを見せたスタイルでした。サスティナブルなドレスを見にまとう、ドレスコードの概念を壊すなど、アカデミー賞のレッドカーペットはもはや新たなファッショントレンドの発信の場にもなっているのかもしれません。気は早いですが来年のアカデミー賞も引き続き注目していきたいですね!