「YouTuberの音楽業界進出」サカナクション山口一郎の見解は

引用元:TOKYO FM+
「YouTuberの音楽業界進出」サカナクション山口一郎の見解は

サカナクションの山口一郎が、TOKYO FMのレギュラー番組に出演。リスナーから届いた質問に答えました。
(TOKYO FM「サカナLOCKS!」2月7日(金)放送分)

『YouTuberが音楽業界に出てきていることをどう思いますか?』

山口:あのね、ひと昔前は「不愉快だ」って一言で言い放ってたけど……YouTubeは、もうテレビと同じツールです。むしろテレビより強いと思う。そこで生まれてくる音楽っていうものが、ひとつのジャンルになっているんだなっていうのを、前の授業の時に『2020年ブレイクしそうなミュージシャン』のサウンドを聴いて思った。だから僕は、アリ。YouTuberが音楽業界に出てきていることはアリだとおもう。でも、正直まだ成熟していないと思う。これがどう成熟していくかっていうのが非常に楽しみだし、そこを音楽メディアが考察するのを聞いてみたいと思うね。まず、YouTubeで音楽をやっている人は、YouTubeが本業で音楽が副業なのか、YouTuberミュージシャンなのかっていうところでも、全然意味合いが変わってくるからね。だから、ちょっと前までは不愉快だったけど、今は全肯定です。僕の考えが浅はかだったね。

『ミュージシャンは、自分の作った音楽が違法にアップロードされていることをどう思っているのですか? 腸煮えくり返っているんでしょうか?』

山口:これは難しい問題ですね。正直、違法アップロードされているものを、「不愉快だな、嫌だな」とは思う。けど、それを聴いている人たちに対しての不愉快さはない。なんでかって言うと、時代の進化は音楽でビジネスをしようっていうことに対して逆行しているんですよ。音楽を物質化するところから離れていっているし、簡単に手に入れられるようにしようとしてる。でも、サブスクリプションが出てきて、音楽を聴くっていうときに……これは “水道”と一緒なのね。みんな水飲むよね、蛇口をひねれば水が出てくるじゃない。でも、水道代を払わないで水を飲んでいたら、それは違法っていうか良くないことじゃない。でも、誰かがタダで水の出る蛇口を作ったとして、喉カラカラの人が水道代を払えなくて水を飲みに行くってなったら、無料のところに行っちゃうじゃん。だから、違法の水飲み場を作った人に対しては、「ちょっちょっちょ、ちょい待てよ」って思うけど、それを飲むしかないカラカラに喉が渇いている人に対しては「しょうがないかな」って思うよね。申し訳ないって気持ちで飲んでいたらそれでいいし、「こんなの当たり前じゃん」って飲まれるんだったらちょっと悲しいなとは思うけど。でも、時代的にはそういう風になっちゃってるから。時代に合わせて変わっていくんだっていう過渡期だから、こういう議論は必要だと思う。