マンガ『空手バカ一代』は名言満載。東京五輪に向けて読みたい、昭和の男の一代記

引用元:マグミクス
マンガ『空手バカ一代』は名言満載。東京五輪に向けて読みたい、昭和の男の一代記

 2020年、今年はいよいよ東京オリンピックの開催を迎えることになりました。サーフィンやスケートボード、スポーツクライミング、復活を果たした野球にソフトボールと、気になる新種目はいくつかありますが、1964年の東京オリンピックで「柔道」が初開催されたのと同じく、我が国の武道である「空手」が競技として行われることは、とても意義深いことと感じます。

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 さて、その「空手」を世に広めた功績を語る上で忘れられないマンガが、1971年から1977年まで講談社「週刊少年マガジン」で連載された『空手バカ一代』(原作:梶原一騎 作画:第1部~第3部 つのだじろう/第4部~第6部 影丸譲也)です。同作なくして、現在の「K-1」などの立ち技格闘技はもちろん、異種格闘技戦という観点で見ても「総合格闘技」すら、ともすれば存在していなかったかもしれません。

『空手バカ一代』は、一撃必殺を標榜する「極真会館」の創設者、大山倍達の半生を描いた作品で、物語の冒頭には「事実を事実のまま完全に再現することは いかに おもしろおかしい 架空の物語を生み出すよりも はるかに困難である──アーネスト・ヘミングウェイ」という一文からはじまり、さらには「これは事実であり……この男は実在する!! この男の一代記を 読者につたえたい一念やみがたいのでアメリカのノーベル賞作家ヘミングウェイのいう『困難』にあえて挑戦するしかない……」という、梶原一騎先生の名文が続くのです。やはり「ノンフィクション」の体をとりつつも、ストーリーの9割がたは創作のようです。

 つまりは、物語全般にわたって「真実とウソを織り交ぜる」、俗にいう「梶原ファンタジー」の手法がとられているのですが、その言葉の力や「大山倍達」という人物の生き様は感銘を受けるに値するもの。実際、この「空手バカ一代」に影響を受け、格闘家になったという人物も多いと聞きます。

 今の世の中ではインターネットでさまざまな情報が氾濫し、「虚実織り交ぜた梶原一騎的な手法」は批判されてしまうのかもしれませんが、こうした「昭和のおおらかさ」が時代にパワーを与えていたように思います。