尾上菊之助、古典芸能のすごさ ナウシカでのケガ乗り越え実感

引用元:スポーツ報知
尾上菊之助、古典芸能のすごさ ナウシカでのケガ乗り越え実感

 尾上菊之助(42)が、東京・国立劇場(小劇場)の3月歌舞伎公演「通し狂言 義経千本桜」(3~26日)で忠信、知盛、権太の3役“完演”に挑む。同演目の通し狂言は珍しく、特に注目されるのが初役で演じる「いがみの権太」。昨年は宮崎駿原作「風の谷のナウシカ」の歌舞伎化を企画し、主演。またドラマ「グランメゾン東京」(TBS系)では料理人を好演して存在を印象づけた。勢いに乗り、攻め続ける菊之助がいま何を考え、どこに進もうとしているのか聞いてみた。

(内野 小百美)

 昨年歌舞伎化した「風の谷のナウシカ」では、公演中に負傷する事故もあったが、チケットの即日完売にも表れた通り、大きな話題を呼んだ。「5年前ジブリさんに、ただやりたい一心であることをお伝えして。(花道で負傷したアクシデントは)本当に申し訳なく、お客さまにけががなかったことだけが幸いでした」。夢を実現させた達成感の一方で悔いを残した。

 14日から同作は全国の映画館でディレイビューイング(時間差上映)が始まる。「映像はけがの影響で当初のプランのものではないので、どうしても本来のものをお見せしたい。私としては何としても、させていただきたい強い気持ちがあります」と再演への思いをにじませる。

 もちろん、手応えもつかんだ。今作の上演テーマは古典歌舞伎の芸で、いかにナウシカの世界を表現するか、ということだった。「私たちの血や肉となっているのは先人たちの芸の蓄積によるもの。新作をつくる上でも古典の技芸が、いかに歌舞伎を支えているのか」を改めて感じる公演でもあったという。 報知新聞社