片岡孝太郎「事切れる前の執念」見逃すな…「菅原伝授手習鑑」

引用元:スポーツ報知
片岡孝太郎「事切れる前の執念」見逃すな…「菅原伝授手習鑑」

 今月の歌舞伎座(26日まで)は「十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言」を昼夜上演。女形として安定感ある芝居を見せる片岡孝太郎(52)は、父・片岡仁左衛門が菅丞相(菅原道真)を演じる「菅原伝授手習鑑」に出演中。「道明寺」でふんする立田の前は長男、片岡千之助演じる刈屋姫の姉。夫に裏切られ、殺されるという壮絶な役。事切れるときの“執念の行為”を見逃さないでほしい。

 「立田の前は物語のカギを握っており、やってみると難しいです。最初は私が刈屋姫かなと思ったら松竹からそれは息子にと。彼にとって大きなチャンスになるでしょう」。女形はほとんど初めての千之助は坂東玉三郎に発声や所作を教わったという。息子とは姉妹役だが「女形同士、同じ土俵にいて、ふと父の目になりそうになるので注意しなければなりません」。親の顔がのぞく。

 菅丞相を演じている時の父は、役が乗り移ったようで楽屋の雰囲気までも違う。「何か家のことを伝えたい時も父が化粧を落としてからでないと話し掛けられないですね」。追善公演ができることは子孫の繁栄を意味する。孝太郎は温厚な十三世の祖父が好きだった。幼いころ隣で眠った。「お布団に入ってお化けの話を始めたら、自分が怖くなって話を途中でやめちゃうような人でした」と懐かしむ。「年齢を重ねても、これ以上できないくらいの準備をして舞台に立っていた。それが松嶋屋なのだと教わりました」

(内) 報知新聞社