「予約したのに」社会問題を巻き起こした『ドラクエ3』 パーティ編成の面白さは格別

引用元:マグミクス
「予約したのに」社会問題を巻き起こした『ドラクエ3』 パーティ編成の面白さは格別

 1988年2月10日にエニックス(現:スクウェア・エニックス)から発売されたファミリーコンピュータ用ソフト『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下、ドラクエIII)は、『ドラゴンクエスト』シリーズ初のパーティの自由編成と転職システムが導入された画期的な作品でした。発売前はどんなパーティを編成しようかクラスメイトと楽しく話していたものの、入手には苦労した記憶を持つライターの早川清一朗さんが当時を語ります。

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 発売前、クラスの話題は当然『ドラクエIII』が中心でした。「週刊少年ジャンプ」は毎週のように特集を組んでおり、IIIは4人のパーティを自由に編成できること、勇者を含めて8つの職業が存在していることなど様々な情報が少しずつ明かされていました。

 小出しにされる情報に一喜一憂しながらも、当時中学生だった筆者はクラスメイトたちとどんなパーティを編成しようか、しょっちゅう話し合っていました。「ジャンプ」では、戦士・勇者・僧侶・魔法使いの4人パーティがお勧めされていましたが、やんちゃな年頃の男子が大人の言うことなど素直に聞くわけがありません。

 とはいえ賢者への転職方法はまだ明かされておらず、商人は戦闘の役に立つか分からず、遊び人に至っては「なんでこんな職業があるの?」と首をひねるしかありません。遊び人が「さとりのしょ」がなくても賢者に転職できると分かったのは、だいぶ後の話でした。色々試行錯誤しながらも、結局は戦士と武闘家を入れ替えただけの無難な形に落ち着いたのをよく覚えています。

 発売日を楽しみに待っていた筆者でしたが、ちゃんと買えるかどうかは心配かなりしていました。過去にファミコン本体や『ドラゴンクエストII』の入手には苦労させられていたからです。近所のファミコンショップに予約はしておきましたが、予約を忘れられていないか、本当に入荷するのか不安は尽きません。

 そうして迎えた発売日当日に、貯めておいたお年玉を握りしめて列に並んだ筆者の心配は、思ってもみない形で目の前に現れてしまいました。

 悪名高き「抱き合わせ販売」の餌食となってしまったのです。