Twitter運用の評価指標、「フォロワー数」以上に重視すべき点【ビジネス活用のポイント・前編】

引用元:オリコン

 世の中のさまざまな話題の反響や“バズ”を生んだ取り組み、ツールの活用術などについて紹介する連載企画「Twitterインキュベーション」。Twitter Japanでは現在、企業・店鋪に勤務するTwitter運用担当者を対象に「ビジネス活用セミナー」を全国各地で定期的に開催している。そこで、講師としても活躍する、同社ツイッタービジネスマーケティング責任者の森田謙太郎氏が、ビジネス上でのTwitter活用のポイントについて紹介する。

【写真】解説者の森田謙太郎氏

◆フォロワー数以外の指標を持つべき理由

 現在、各地で展開している「ビジネス活用セミナー」。開催回数は4年間で約150回、聴講者数は延べ1万人にのぼる。いただく質問の大部分を占めるのは、「フォロワーの増やし方」に関するものだ。フォロワー数は誰にでもわかりやすく、情報のリーチ規模拡大に貢献する指標ではある。しかし、Twitterをビジネスで活用する際の成果の良し悪しをそれだけで評価するのは不十分だ。

 特にTwitterアカウントの運用を新たに始める場合、競合他社のフォロワー数を目標に設定することはあまり大きな意味を持たない。なぜなら、運用の内容にかかわらず、運用期間が長いほどフォロワー数が積み上がっていくのが普通であり、「現在Twitterを利用していない人たち」も含め、カウントされているからだ。

 また、運用する担当者の努力や工夫がフォロワー数の増減と連動しないといったケースも多い。頑張って運用しているのにフォロワー数の増加が伸び悩むことが多い一方で、自社商品やサービスがヒットしたり、テレビやラジオ等のメディアで紹介されたりすることで爆発的にその数が増えることもあるからだ。フォロワー数とは、Twitter 上での工夫だけではなく、商品・サービスそのものの良し悪しや、ストーリーの伝え方、さまざまなメディア露出との相互関係で生まれてくるのである。

◆ツール上での「会話」が商品・サービスへのロイヤリティを高める

 では、ほかに何を指針にすれば良いのか。並行して設定しておきたい複数の指標の1つに、発信したツイートが見られた回数を示す「インプレッション」がある。これは、Twitterを利用していれば誰でも無料でアクセス可能な「Twitterアナリティクス」や「ツイートアクティビティ」と呼ばれる画面で、簡単に確認できる。

 インプレッションが毎月伸び続けているのであれば、Twitterの運用は上手くいっていると評価して良いだろう。この数はフォロワー数の増加だけでなく、発信頻度を増やしたり、より良い内容を発信したりした際にリツイートされることでも増加するからだ。単にフォロワー数を増やすことだけを指標にするのに比べて、活用成果を真の意味で捉えやすくなるだけでなく、運用する担当者の努力や工夫がより反映され、モチベーションも保たれやすくなるだろう。

 加えて、新たな指標として提案したいのは、Twitter上での自社商品やサービスを巡る「会話」の定性的・定量的な評価だ。Twitter活用が上手な企業アカウントは、一方通行で情報を発信するのではなく、その発信に対する消費者のコメントへ返信することで「会話」を作り、そのインタラクティブな体験を増やしている。消費者は、自分のコメントに企業から返信が来るとは予想も期待もしていない。不意の会話が生まれた驚きと喜びが、その企業への好印象を強め、その先の指名買いや、自然発生的な商品・サービスのレコメンドを含んださらなる会話につながることもある。

 このような消費者からのフィードバックは、経営の参考になるものも多いというから、一見Twitter上で楽しく雑談しているだけのように見えて、じつは「消費者リサーチを定常的に行っている状態」に等しい。このような会話に含まれる単語の出現傾向をツールで解析する取り組みも盛んだ。また、起きている会話を、オフィスの共有スペースにある大型モニターで定常的に表示したり、 特に反応が良かったツイートを紙に印刷して社員食堂に貼ったりして、社員への「見える化」を進めているケースもある。

 コミュニケーションポリシー上、「文字による返信」が制限されている企業が、絵文字だけで返信をしたり、「いいね」をつけて対応する工夫もある。Twitterを会話のプラットフォームとして小さな工夫を積み重ねている好例と言えるだろう。

 後編では、Twitterを「会話」という観点で積極的に活用している、あるラジオ番組の例を紹介する。