1・9億円マグロ、梅宮さんに手向け 令和初「初競り」すしざんまい・木村社長「食べさせたかった」

1・9億円マグロ、梅宮さんに手向け 令和初「初競り」すしざんまい・木村社長「食べさせたかった」

 豊洲市場(東京都江東区)で5日早朝、令和になって初となる「初競り」が開かれた。毎年注目のマグロの競りは、276キロの青森県大間産クロマグロが史上2番目となる1億9320万円で落札された。昨年に続き競り落としたのは「すしざんまい」運営会社の喜代村。木村清社長(67)は昨年12月に他界した俳優梅宮辰夫さん(享年81)と30年来の交流があり「マグロが大好きだったからね。食べさせたかった」と手向ける気持ちを表した。

 約2億円の「一番マグロ」はこの日午後2時、「すしざんまい」本店(東京・築地)の前で解体された。木村社長が大トロ、中トロ、赤身と部位ごとに切り分け、席を埋めた客に次々とマグロのにぎりが振る舞われた。

 大トロ1貫6万円相当のところ、398円(税抜き)の大盤振る舞い。都内の会社員増井孝充さん(52)は「口の中で脂がとろけて最高。東京五輪イヤーなので、このマグロパワーで日本代表に声援を送りたい」と表情を緩めた。

 平成最後と旧築地市場からの移転後初が重なった昨年の初競りは、青森県大間産のクロマグロ(278キロ)を3億3360万円(1キロ当たり120万円)で落札。今回はこれに次ぐ、史上2番目の高値(1キロ当たり70万円)だった。

 木村社長には、この令和初の「一番マグロ」を食べてほしかった人がいた。それは、昨年12月12日に慢性腎不全のため亡くなった梅宮さん。約30年前に、東京都江東区の門前仲町にある行きつけの寿司店で知り合ってから交流があった。梅宮さんは01年、すしざんまい本店開業日に来店。大漁旗にサインしてプレゼントしてくれた。

 後に釣り仲間となる松方弘樹さん(享年74)を引き合わせてくれたのも梅宮さんだった。元気だった頃はよく来店。4、5年前に松方さんに梅宮さんの様子を尋ねたところ「体調が良くなくて、釣りを一緒にできないんだ」と話していたという。

 木村社長は「梅宮さんはマグロが大好きで、料理が好き。気が合う仲間だった。一番マグロを食べてほしかったね」と手向けの気持ちを表した。その上で「奥さん(クラウディアさん)と娘さん(梅宮アンナ)にもぜひ食べにきてほしい」と来店を心待ちにした。

 《漁師歴40年「夢かなった」》2億円マグロを釣った青森県大間町の漁師山本昌彦さん(57、写真)は「漁師をやっていれば初競りで最高値を付けてもらうのは夢。長年の夢がかなった」とうれしそうに語った。マグロはえ縄漁船の船長で、漁師歴は約40年。これまで何度も初競りに向けて出荷してきたが満足できる結果が得られなかった。数年前には船が火災に遭うなど苦しい時期もあっただけに「とりあえず良かった。令和初で縁起も良い」と喜びをにじませた。