【令和元年 回顧】デーブ・スペクター氏&本紙選出「裏流行語大賞」は…「失言・迷言・珍言」

引用元:スポーツ報知
【令和元年 回顧】デーブ・スペクター氏&本紙選出「裏流行語大賞」は…「失言・迷言・珍言」

 2019年の総集編を締めくくるのは、すっかり恒例となった!?「裏流行語大賞」。昨年に続き放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏に選考に加わってもらい、「失言・迷言・珍言」を選び出した。今年は、「語感」と「中身」の2部門に分けて、それぞれトップ3を決定。語感部門の第1位は「発音できないだろ…」というツッコミはさておき、“本家”の流行語大賞とは違ったスタンスで、いろいろあった一年を振り返ってみたい。(構成・高柳 哲人)=この記事は2019年12月30日の紙面に掲載されたものです=

 ▼中身部門1位は「北方領土でやったらどうか」合意なき決定の小池百合子都知事

 10月に勃発した東京五輪のマラソン・競歩競技の札幌移転問題での発言。自分だけ「かやの外」で計画が進められていたことに、最大限の皮肉で反発。移転が決まった4者協議でも納得をしていない様子を見せた。

 デーブ:「北方領土」発言には批判も出たけど、何が問題なんだろうね。不謹慎でも何でもないと思うし、逆に政治家はそれくらいの皮肉が言えないと。何より、これがダメなら僕の出番がなくなっちゃいますよ(笑い)。あと、「合意なき決定」は、今回だけじゃなく五輪すべてに言えることだろう、と。大会は盛り上がるのは分かっているけど、終わった後に決定されたことがどんな結果を引き起こすか心配だね。

 ▼2位は闇営業の吉本興業芸人ら

 6月に「カラテカ」の入江慎也が所属事務所を契約解除されたことから始まった問題。宮迫博之ら人気芸人が関与していたこと、吉本興業の社長が会見したことで、大きな話題となった。

 デーブ:この言葉は“本家”でも選ばれていたし、社会部門の言葉と言えないかもしれないけれど、今年一年を振り返る上で外せない。(フジテレビ系の)「バイキング」で2~3週間話題がもったという時点で、すでに大きな出来事ですよ。毎年、不祥事を起こす芸能人はいるけど、この問題は業界全体に関わる社会問題だから。「闇」があぶり出されたことで、業界が“健康的”になればいいんだけどね。

 ▼3位は老後2000万円問題の金融庁金融審議会

 6月にワーキング・グループが出した報告書の中に「老後に2000万円の蓄えが必要」との試算があったことで話題に。麻生財務相は報告書を受理しなかったが、だからといって蓄えがなくて済むわけではない。

 デーブ:これは正論なんです。だから、麻生さんの「受け取らない」なんていうのはおかしい。それに、彼は大富豪なんだから。そんなこと言っても反感を買うのは当たり前でしょ。報告書の発表の仕方が下手くそだったんだと思います。脅迫に近い言い方だから。「残念ながら…」と前置きするとか、もうちょっとオブラートに包むとかやり方はあったはずなのにね。

 ▼語感部門1位は「ああ、ベーコンは、結局…」の河野太郎外相(当時)

 更新回数の多さと、ユニークな内容から“ツイッター大臣”とも呼ばれる河野氏のツイートの中でも、特に話題となった5月21日の内容。河野氏が意味を明らかにせず「国家機密」などとはぐらかしたため、謎が謎を呼んだ。

 デーブ:このニュースを報じようとしたテレビのアナウンサーは困っただろうね。だって、読み方が分からないんだから。でも、AFP(仏通信社)やBBC(英放送局)も「謎めいたツイート」と報じるほどの話題になったのは、良かったんじゃないですか。「政治家のツイッターってつまらない」というイメージを覆したし。この発信力があれば、政治家を辞めた時にはユーチューバーになれますよ。

 ▼2位はコスプレ保釈のゴーン被告

 会社法違反などで逮捕された日産の元トップが、3月6日に東京拘置所から出て来た時の姿は、まさかの作業着。しかも、乗り込んだのは日産の高級車ではなく、別メーカーの軽ワゴン車だった。

 デーブ:逮捕された芸能人が保釈される時の姿を見ていると、ひんしゅくを買わないように「出て来たらまず謝罪のおじぎをする。時間は最低30秒」みたいなマニュアルがあるのかな…。それをしたくなかった結果として行き着いたのが、あれだったんでしょう。とはいえ、コスプレは完全に失敗してたね。それにしても、保釈の時って、何であんなに駆けつけるの? (芸能人の勾留が多い)湾岸署は取材料を取ればいいのに。

 ▼3位は「なんでクリスタルじゃないの」の小泉純一郎元首相

 7月、環境相に就任する前の次男・進次郎氏の結婚相手でフリーアナの滝川クリステルに投げかけた質問。素直に「おめでとう」と言わないところが、“くせ者”の元首相らしいが…。

 デーブ:実は、僕も彼女に全く同じことを言ったことがあるんですよ。向こうは苦笑してましたけどね。彼女はフランス系で「クリステル」なんだろうけど、アメリカだと、多い名前は「クリスタル」ですから。だから、アメリカ人としては「うれしい間違い」だったし、日米安保条約が健在であることが確認できたかな。 報知新聞社