池松壮亮「運命的な思い」忘れぬ感謝/主演男優賞

引用元:日刊スポーツ
池松壮亮「運命的な思い」忘れぬ感謝/主演男優賞

<日刊スポーツ映画大賞授賞式:主演男優賞・池松壮亮(「宮本から君へ」)>◇28日◇ホテルニューオータニ

「宮本から君へ」で池松壮亮(29)が主演男優賞に輝いた。5年前に助演男優賞を受賞しており「また戻ってこられてうれしい」。主演と助演の両方を受賞したのは史上7人目で、渡哲也、西田敏行、真田広之、役所広司ら日本映画史に残る名優らが並ぶ。不器用で愚直な主人公宮本浩を強烈な熱量で演じきり、20代最後の作品で名優の仲間入りを果たした。

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前年受賞者の松坂桃李(31)から受け取った記念の盾を見て池松は「光栄です」と素直に喜んだ。「宮本から君へ」で共演し、花束を贈呈した蒼井優(34)からは「(池松は)日本映画界の宝です。池松壮亮という役者の新しい引き出しの扉が思いっきり開いた作品になったと思います。新しい池松くんの誕生をみんなでお祝いできるような感じで本当にうれしいです」と絶賛された。

池松は蒼井のコメントに「そっくりそのままお返しします」と謙遜したが、数々の作品に出演し、どんな役でも強烈なインパクトを残してきた。「20代は近道をしない」という信念を持ってきたという。知名度を優先して自分のやりたくないものをやるのではなく、あえて厳しい道を選び、歩んできた。「なぜそこまで」と周りから反対されても頑固に押し切った。そして、20代最後に回ってきたのが、池松が「ぼくのヒーロー」と語る「宮本浩」。「この役と心中しよう」と心に決めた。

7年前に役のオファーをもらったが、作品自体がさまざまな壁に直面し、映画の完成までには時間を要した。「何度も何度も絶望をみました。でも信じた分、今日ここに立っていることに運命的な思いがあります」と周囲への感謝を忘れない。

来年は30歳になる。「いよいよ若手と言ってられない。強く、もっと高く、深く、映画とそして出会った人と対峙(たいじ)していけたらなと思います。精進します」と意気込んだ。これまで多くの出演作で日本映画界を盛り上げてきただけに、30代ではさらにスケールアップした芝居を見せてくれるはずだ。【佐藤成】