『3年A組』『あな番』…考察系が大盛り上がり 2019年“バズり”ドラマをプレイバック

『3年A組』『あな番』…考察系が大盛り上がり 2019年“バズり”ドラマをプレイバック

 2019年も残すところあとわずか。今年もテレビではたくさんの新作ドラマが放送された。多くのヒット作、高視聴率ドラマが生まれたが、ここではネット上で視聴者がストーリーの行方やキャスト陣の演技に大いに盛り上がり心動かされ、SNSを中心に“バズった”話題作を振り返ってみよう。

【写真】菅田将暉、田中圭、西島秀俊…2019年を彩った“バズり”ドラマの顔

◆視聴者の“考察”が新たなドラマのトレンドに

 2019年のドラマを語る上で欠かせないのが、日本テレビの日曜ドラマ枠(毎週日曜22時30分~)が火をつけた“考察”というドラマの楽しみ方。

 1月スタートの菅田将暉主演、永野芽郁共演の学園ミステリー『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)は、映像の端々に隠されたメッセージや、エピソードを重ねるごとにスケールが広がる巧みなストーリーテリングが視聴者のハートをキャッチ。SNSでは事件の犯人や先の展開について“考察”や“伏線探し”を展開する投稿が多く見られるようになった。

 そして『3年A組』終了後、4月~9月の半年にわたって放送された『あなたの番です』(日本テレビ系)では、視聴者の“考察”がさらに異様な盛り上がりを見せることに。住人同士の複雑な人間関係やマンション内外で頻発する殺人、そして次々と物語に投入されるクセの強い新キャラクターの存在が、視聴者の推理欲をくすぐり、ネット上には『あなたの番です』の考察に特化したブログやYouTube動画も乱立した。

◆人気コミックの実写化は原作ファンも納得の良作が続々

 西島秀俊と内野聖陽がダブル主演を務めた『きのう何食べた?』(テレビ東京系)は、同性カップルのほろ苦くもあたたかい日常と日々の食卓を描いたヒューマンドラマ。主人公2人のほほ笑ましい関係性を体現した西島と内野の気負いのない演技に加え、コミックの空気感を壊さない製作陣の丁寧な仕事ぶりも原作ファンの心をつかんだ。

 高橋一生と中村倫也という人気俳優の共演も話題を呼んだ、黒木華主演『凪のお暇』(TBS系)も原作ファンからの支持が高かった実写ドラマの一つ。コミックでは登場シーンが少ないスナックのママ役に武田真治を起用し、彼がヒロインの心強い助言者になるという大胆な脚色も原作ファンに受け入れられ、SNS上には「武田ママと飲みたい」といった声が相次いだ。

◆安定の人気を見せたシリーズものに超強力コンテンツが参入

 ファン待望のシーズン2『おっさんずラブ -in the sky-』(テレビ朝日系)が放送されたのも今年の重要トピックだ。シーズン1からストーリーや設定を一新し、主人公・春田役の田中圭とヒロイン・黒澤武蔵を演じる吉田鋼太郎のみ続投。シーズン1では春田と牧(林遣都)の関係性に重きが置かれたが、シーズン2では春田と黒澤、そして新キャラクターの成瀬(千葉雄大)、四宮(戸次重幸)を加えた男たちの四角関係に力点が置かれた。彼らが入り乱れる卓球バトルや相撲大会など前作にはなかったスペクタクルシーンも登場し、ネットを騒がせた。

 また個性派ヒロインの過去が明らかになった『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)や第6シリーズを迎えた『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)も毎回登場するゲストとヒロインのやりとりも含め安定した人気を見せつけた。

◆月9枠の新境地は骨太ドラマとスタイリッシュなミステリー

 フジテレビ月9ドラマで7月期に放送された『監察医 朝顔』は、上野樹里扮する法医学者と時任三郎演じる彼女の父でもあるベテラン刑事が事件を解決していく法医学ドラマ。東日本大震災で被災した法医学者のヒロインとその父親の刑事が、自らのトラウマと向き合うという設定は、人物描写に奥行きを与えドラマを骨太で見応えのあるものに仕上げた。

 続いて同枠で放映された『シャーロック』は、ディーン・フジオカがシャーロック・ホームズを基にした主人公・誉獅子雄を演じるミステリー。犯人役で登場した女優とディーンの丁々発止のやり取りや岩田剛典演じる相棒とのコミカルな掛け合いだけでなく、遊び心満載のスタイリッシュな演出も話題となった。

 視聴率も好調な月9ドラマは、4月期放送の『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』も含め続編を望む声がネット上に相次いでいる。

◆横浜流星は“はじこい”でブレイク

 これまでに紹介した作品以外にもネットを中心に話題を呼んだドラマはまだまだたくさんある。深田恭子主演の『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)は、相手役に横浜流星を抜てき。深田演じる予備校講師と横浜扮する受験生が織りなす“年の差恋愛”はネット上で大盛り上がり。本作の人気が横浜を“2019年ブレイク俳優”へと押し上げた。さらにラグビーワールドカップ2019開催前に完結した『ノーサイド・ゲーム』(TBS)は、主題歌に起用された米津玄師の「馬と鹿」がのちに“ラグビーアンセム”化するなど、大会の盛り上がりへの足がかりを作った。東京オリンピック・パラリンピックを控える2020年はどんな作品がネット上を席巻するのか。年明けから次々とスタートする2020年1月期ドラマに注目だ。(文:スズキヒロシ)