瀬戸かずや、来年1月5日開幕「マスカレード・ホテル」で外部劇場初の主演務める!

引用元:スポーツ報知
瀬戸かずや、来年1月5日開幕「マスカレード・ホテル」で外部劇場初の主演務める!

 宝塚歌劇花組の“アニキ”瀬戸かずやが、来年1月5日にシアター・ドラマシティ(大阪)で開幕する「マスカレード・ホテル」で、自身3年4か月ぶり、外部劇場では初となる主演を務める。国民的ミステリー作家・東野圭吾氏のベストセラー小説が原作で、今年1月公開の映画版では木村拓哉(47)が演じた新田浩介刑事に挑む。「大事件。作品の偉大さに負けそうにもなりましたが、思ったより気負い過ぎていない自分がいることに驚いた」。入団16年目でつかんだ大役への喜びと感謝で、重圧をはねかえす。(筒井 政也)

 捜査1課の刑事・新田(瀬戸)は、連続殺人犯が現れる可能性が高い一流ホテルに、ホテルマンとして潜入捜査。女性フロントクラークの山岸(朝月希和)に指導されながら、訪れる客に疑惑の目を向ける…。

 小説、映画に続き、今回は舞台がなぞ解きに。原作の文庫本には、自分の顔が印刷された大型カバーが施され、店頭に平積みされている。「恐ろしい(笑い)。さらなるプレッシャーがかかりましたが、みなさんの目に触れる機会のある作品なんだなと、ありがたさが身にしみます」と感謝した。

 現代の男性を演じるのも喜びで「スーツ姿の役が一番難しいと思っているのですが、うれしい。コスチュームではカバーできない部分を、どこまで表現できるか」とリアルさを追求する。一方で山岸との関係性は「タカラヅカならではのグッとくるものに」と、独特の空気感を提供するつもりだ。

 映画版のキムタクにも学んだ。「素直にカッコいい。DVDを買い、メイキングやインタビューも見て、木村さん自身の提案などからヒントを得たりしています。細かに積み上げていきたい。自分の中でも捜査会議。世界観を深めるには一日24時間じゃ足りません(笑い)」

 新田のキャラクターにも敬意を払う。「はぐれ者で、上司にけむたがられる存在かもしれませんが、オレはこうしたいんだ!と信念を貫き通す強さがある」。下級生時代は、男役としての居方を迷った時期もあったが「一番シンプルに、宝塚を目指した時の『背中で語れる男役』…やっぱりそれでいいんだよね?と10年以上かけて気づくことができた」と笑顔。だから、大作の主演にも揺るがない。「何年か前の自分なら、波に負けていただろうな。一歩踏み出せる、強くなった自分がいるのを感じる」と頼もしい言葉が出た。

 この1年は特に成果があった。昨年暮れの「蘭陵王」では男色の皇太子・高緯役で驚かせた。「自分の殻が5枚ほど破れた。劇場の空気のつかみ方を知り、お客さまの集中力をビリビリと肌で感じたんです」。6月に横浜アリーナで行われた明日海りおの卒業コンサートでも身が引き締まった。「大観衆にも臆せず、パワーをはじき返した明日海さん。今回の主演でその気持ちにも気づいた。この学年になっても、いろんな“気づき”がある。自分自身、変わっていくんだなって」

 5年半、花組をけん引した明日海が退団し、柚香光(ゆずか・れい)にバトンを渡した。5期下の新トップを支え、後輩たちにも“アニキの背中”を示す。「人としっかり向き合いたい。人間的魅力が増し、男役の輝きにつながるといいな。新生・花組を盛り上げる力になり、みんなで土台を築く大切な1年にしなければ」。2020年も多彩な花を咲かせる。

 ◆瀬戸 かずや(せと・かずや)12月17日生まれ。東京都江戸川区出身。2004年4月「スサノオ」で初舞台。90期生。花組配属。10年「麗しのサブリナ」で新人公演初主演。16年、「アイラブアインシュタイン」で宝塚バウホール初主演。身長172センチ。愛称「あきら」は、矢沢あい氏の少女漫画「天使なんかじゃない」に出てくるリーゼントヘアの高校生・須藤晃に「雰囲気が似ている」と、宝塚音楽学校の予科生時代に同期から付けられた。 報知新聞社