多子世帯の母親がソッポ「美奈子ユーチューブ」への違和感

多子世帯の母親がソッポ「美奈子ユーチューブ」への違和感

 今年10月、ビッグダディの元嫁の美奈子(36)がブロク上で重大な発表があると大々的に告知した。「また妊娠か?」などネット上で軽く騒ぎになったが、ふたを開けてみると、なんと、美奈子が家族ぐるみでユーチューバーとしてデビューを果たしたのであった。

 チャンネル名は「美奈子ファミリーTV」。知名度もあり、開設直後に登録者数4.6万人を記録したが、2カ月経過した今も5.2万人(12月16日現在)と大きく伸ばしている様子はうかがえない。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏が言う。

「その登録者数では儲けはさほど出ていないと思います。広告がつき、再生回数によって金銭が発生するものをアフィリエイトプログラムというのですが、現在、守秘義務が締結され、どれぐらいの再生回数があれば、どれぐらい入るのかは表に出てこなくなっています。しかし登録者数5万人程度は多いとはいえず、今のところ、美奈子さんの儲けは、およそになりますが月額数万円程度といったところではないかと思われます」

 実際に「美奈子ファミリーTV」を視聴してみると、“ビッグマミィ”こと美奈子と子供8人からなる大所帯を前面に押した“ビッグダディ”を彷彿させる作りになっている。大家族ストーリーは決して裕福な生活ではないとしても、そこには情に溢れた人間模様が複雑に絡み合い、波乱万丈なドキュメントが生まれ、視聴者を引き付けるものがあるのだろう。

 ただ、「美奈子ファミリーTV」を観てみると、子供が楽しそうに遊ぶ姿はたくさん出てくるが、大家族にとって最も過酷な「育児」についてはほとんど触れられていない。多胎児や多子世帯の母親が求める一番重要な部分がすっぽり欠けてしまっているのだ。

■最も大切な「育児」に関する描写が抜け落ちている

「中身が面白ければ、一発逆転もあり得ます。でもただ単に家族とたわむれてているだけの画像であれば、美奈子さんに興味ある人以外は観ないでしょうね。ユーチューバーデビューに関しても、今更感が否めません。すでに企業が広告を出す出稿先としユーチューブは認知されていますので、ユーチューブ側としても、今更、面白い人たちに集まってもらい、広めてもらわなくても構わないのです。よって、ユーチューブ市場は厳しいと思われるので、登録者数が伸び悩むのであれば早めにやめた方が彼女のためでもあるかもしれません」

 実際、3人以上育てている多子世帯で、美奈子の大家族物語に興味を持つ母親は少ないはずだ。一番大事な育児の部分が描かれていないので、ある意味、フィクションに感じられ、共感を覚えにくいのである。

 著者自身は美奈子の足元にも及ばないが、3人の子を持つ多子世帯の母親である。それでも三者三様の成長があり、過酷な反面、喜びもある。しかし日常生活の9割は過酷で、残る1割がまさに平和で楽しい「美奈子ファミリーTV」状態といえる。子供の成長を客観的に見て喜びを感じることができる一方、日々の大半が子供と正面から向き合い、ストレスで円形脱毛症になりそうな日々を過ごしているのが世の多子世帯の母親のはずだ。唯一共感できるのは、「美奈子ファミリーTV」に映し出された美奈子の姿が、大家族の母親として所帯じみた容姿であるといったところか。

(取材・文/ジャーナリスト・中西美穂)