村上春樹が好きな「地方新聞の記事」は?「たとえば『野原の井戸に落ちて…』」

引用元:TOKYO FM+
村上春樹が好きな「地方新聞の記事」は?「たとえば『野原の井戸に落ちて…』」

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの特別番組「村上RADIO~冬の炉端で村上SONGS~」が12月15日(日)に放送されました。第10回目となる今回は、村上さんが所蔵するレコードのなかから、最近入手したものを中心に選曲。さらに、番組Webサイトで募集した「村上春樹さんに聞いてみたいこと、言いたいこと」に寄せられたリスナーからのメッセージにも応えました。本記事では、番組で紹介したリスナーメッセージについてお話しされた概要を紹介します。

<リスナーからのメッセージ>
春樹さんは海外で髪を切ったことはありますか? 海外の美容室でのエピソードを教えていただきたいです。(ラジオネーム:おでこ 30代 女性 美容師)

うん、海外で髪を切るのは、いつもひと苦労です。たとえば、ロンドンのセント・ジョンズ・ウッドというところで暮らしていたとき、そこで「ダンス・ダンス・ダンス」という小説を書いていたんですけど、地下鉄の駅近くの床屋さんに行きました。

そしたら、そこの理容師が僕を見て「おお、今日は君にとって最高に幸運な日だ。僕は日本人の髪を切ることを何より得意としているからだ。任せてくれ。素晴らしい髪型にしてあげるから」と言うんです。ほんとかよ、と眉に唾をつけて聞いていたんだけど、案の定、こんなひどい髪型はないというくらい、ひどいことにされて、1週間くらい泣いて暮らしていました。だから、みなさんもセント・ジョンズ・ウッドの床屋さんに行くときは気をつけてくださいね。

<リスナーからのメッセージ>
先日(2019年4月21日(日)放送「村上RADIO~愛のローラーコースター~」)はラジオネームをいただき、本当にありがとうございました。私の娘は小さい頃から作家になるのが夢です。娘はいま高校2年生で、村上さんや大好きな作家さんたちが出ている早稲田大学を目指して頑張っています。そこで、村上さんが大学の勉強で役に立ったこと、面白かったこと、また母校に思い入れなどありましたら、教えてください。(ラジオネーム:暗闇坂48 40代 女性 会社員)

僕は早稲田大学の文学部に7年も通いましたけど、当時の早稲田の文学部には、やはり作家志望の人がうようよしてました。僕はそうじゃなくて、映画演劇科というところにいまして、小説よりは、むしろそっちの分野に興味がありました。同じクラスに芦原すなお君がいまして、彼は「青春デンデケデケデケ」という小説で直木賞をとりました。ちなみに僕は、芥川賞も直木賞ももらっていません。すごいですよね……別にすごくないか(笑)。