『男はつらいよ』撮影現場で名物!佐藤蛾次郎がつくる“寅さんカレー”、渥美清さんが最後に食べた時の感想は…

引用元:テレ朝POST
『男はつらいよ』撮影現場で名物!佐藤蛾次郎がつくる“寅さんカレー”、渥美清さんが最後に食べた時の感想は…

山田洋次監督と運命の出会いを果たし、映画『男はつらいよ』シリーズで渥美清さん演じる“寅さん”の弟分・源ちゃん(源公)役で第1作から出演している佐藤蛾次郎さん。12月27日(金)には第50作『男はつらいよ お帰り 寅さん』も公開される。

プライベートでも劇中と同じく家族のような絆で結ばれている“寅さんファミリー”には心温まるエピソードがいっぱい。愛に溢(あふ)れている。


『男はつらいよ』撮影現場で名物!佐藤蛾次郎がつくる“寅さんカレー”、渥美清さんが最後に食べた時の感想は…


結婚式ができなかった蛾次郎さんと奥さん。2人のために山田洋次監督が劇中に“特別なシーン”を書いた。

◆奥様が花嫁姿で「男はつらいよ」に登場

1972年に公開された第10作『男はつらいよ 寅次郎夢枕』には、蛾次郎さんの妻・和子さんが白無垢の花嫁姿で出演。山田監督が、まだ結婚式を挙げていない蛾次郎さんと奥様のために、近所の花嫁が「とらや」へ結婚のあいさつに訪れるシーンを作ってくれたのだという。

「山田監督や渥美さんはカミさんと付き合っているときから知ってるからね。女優だったの。俺が一目惚れをして、一生懸命口説いて一緒になったの。

監督には『俺が結婚するときは仲人になって結婚式に出てね』ってお願いしていて。それで婚姻届に監督と奥様にサインしてもらって籍は入れたんだけど、金がない頃だったから結婚式はしてなかった。

それで監督が、わざわざ、近所の子が結婚式の日に花嫁姿で寅さんを訪ねてくるというシーンを書いてくれたの」

-すごいですね。奥様に出演をお願いして?-

「そう。それで撮影のときに監督が『撮影が終わったら、蛾次郎ちょっと衣装部に行け』って言うから行ったら、紋付と袴が用意してあって。

それで『写真いるだろう?』って言うんですよ。そのとき、たまたま篠山紀信さんが渥美さんの撮影で来ていたんですよ。それで、山田監督と渥美さんが頼んでくれて、俺たちの写真を篠山さんが撮ってくれたの」

-篠山紀信さんが新郎新婦の写真というのはすごいですね-

「そうでしょう?普通は撮りませんよ、あの人は。でも、山田監督と渥美さんが事情を話したら、『いいですよ』って二つ返事でカシャカシャカシャって撮ってくれたの」

-奥様も驚かれたでしょうね、カメラマンが紀信さんというのは-

「ビックリしていましたよ。いいのかなって思って(笑)。渥美さんの撮影で撮影所に来るということは聞いていたけど、まさかね(笑)。

篠山さんが『結婚式の写真なんて撮るのは初めてだ』って言ってましたよ。それが撮ってくれてうれしいね」

-奥様の花嫁姿きれいですね。映像が映画のなかにずっと残りますしね-

「監督が使ってくれたんだよ。『結婚式をしてないから花嫁の格好をさせてあげたい』って。それでわざわざ本を書いてくれて。いないよそういう監督は。もう監督に頭が上がらないですよ」

おしどり夫婦として知られていた蛾次郎さんと和子さんだったが、2016年7月30日、多発性骨髄腫のため、和子さんが68歳で逝去する。結婚して43年目だった。

「カミさんはそれまで大きな病気をしたことがなかったから、ずっと一緒にいると思っていたの。1年以上前から『背中が痛い』とか『腰が痛い』って言っていたけど、骨粗しょう症じゃないかと思っていたぐらいで…。

俺は大腸がんと直腸がんもやったし、ヘルニアも心臓のバイパス手術もやっているから、カミさんは俺のほうが危ないと思っていたの。だけど、カミさんのほうが先に逝っちゃったんだよなあ。

山田監督からは『蛾次郎、女房より先に死ねよ』って言われていたの。監督も奥さんを亡くしているから、すごく心配してくれて『つらいだろう。大丈夫か?』って電話してくれました」