AVの帝王・村西とおる氏「汗と涙を流し、泥にまみれろ!」ドキュメンタリー映画公開中

引用元:スポーツ報知
AVの帝王・村西とおる氏「汗と涙を流し、泥にまみれろ!」ドキュメンタリー映画公開中

 ネット配信ドラマ「全裸監督」のモデルで“AV(アダルトビデオ)の帝王”こと、村西とおる氏(71)が13日、公開中のドキュメンタリー映画「M/村西とおる狂熱の日々」(片嶋一貴監督)の関西キャンペーンを行い、スポーツ報知のインタビューに応じた。

 前科7犯、借金50億円からはい上がった不屈の男は「死にたくなったら下を見ろ。71歳、小さな板切れ一枚で必死に泳いでいるオレがいる。汗と涙を流し、泥にまみれて最前線で戦え」と現代人にエールをおくった。

 映画は、借金返済へ起死回生を狙い、1996年夏に北海道ロケを敢行したドラマ「北の国から 愛の旅路」と、並行して撮った35人のヘアヌードビデオの撮影風景を追ったもの。ドラマは制作費約1億5000万円を投入し、当時珍しかったDVDソフトで4時間の大長編だったが、キャストやスタッフの不手際が続き、迷走していく。

 「あの時は自分自身、どうなっちゃうのかと思った。最後の稚内ロケでは涙が止まらなかった。『AVの帝王』と呼ばれていた人間が、奈落の底へ。みっともない人生。地獄を見た」。それでも、収支はなんとかプラスで「終わってみればすべてよかった」と懐かしみ「AV40年、映画であのような裏側を見せたのは初めて。赤裸々に生きている人間博物館のような作品と自負しています。自分自身をなでなでしてあげたい」と笑顔を見せた。

 今年8月からNetflixで配信されている「全裸監督」で、俳優・山田孝之(36)がAV黎明(れいめい)期の村西氏を演じ、大ヒット。村西氏自身も再び注目を集めることになった。「日本人が一番元気で、何も恐れず、挑戦していた時代の群像劇。こんな日本人がいたのか、という驚きでは。懲役上等、無鉄砲でしか作れない世界があった。私の存在がなければAVの今日はない。日活ロマンポルノで終わっている。戦う人の歴史があって道が切り開けた。『駅弁』『顔射』…特許も取らずに公開しているんだから。世のため、人のためだね」と胸を張る。

 山田の体当たりの熱演には「お会いした時に『コマーシャルの仕事、来なくなるよ』と言ったら『自分のやりたい世界をやるだけです』と。肝が据わっている。よくぞ出てくれた。立派ですよ」と感謝した。

 借金は5年ほど前に完済したという。現在は文筆業やグッズ販売などで活動しているが「チャンスがあればもちろん、AVはまた撮りたい。僕は言葉を武器にして、女性の本性を暴いていった。極めつけのものを作れる自負はある。でも、この人といたしたい、お願いしたいという女性じゃないと、僕は撮らないから(笑い)」。71歳と思えない活力にあふれている。

 「一日3食を1食減らしてでも見てほしい」というドキュメンタリーで、若者たちに問いかけたい思いがある。「失敗すると二度とチャンスはないという世の中になっているが、リスクを冒さないとサクセスストーリーはない。閉塞感があり、縮こまってしまっている時代ですが、めげることはない。きりもみ状態でも生きている人間がいるんだ、というところを見てほしい。あきらめるな!」

 東京・テアトル新宿、大阪・テアトル梅田では19日までレイトショー上映され、他県でも随時公開予定。また、ドラマ「北の国から」のDVDは近日、復刻発売する予定。

報知新聞社