ファッション業界を舞台にした青春群像劇『ランウェイで笑って』千雪役・花守ゆみりと育人役・花江夏樹が語る作品の魅力「乗り越えたくても乗り越えられない現実のつらさがきちんと描かれている」【インタビュー】

ファッション業界を舞台にした青春群像劇『ランウェイで笑って』千雪役・花守ゆみりと育人役・花江夏樹が語る作品の魅力「乗り越えたくても乗り越えられない現実のつらさがきちんと描かれている」【インタビュー】

「週刊少年マガジン」で連載中のマンガ『ランウェイで笑って』。低身長ながら子どものころから夢見てきたパリコレモデルの夢をあきらめきれない少女・藤戸千雪。彼女が、家庭の事情からファッションデザイナーの夢をあきらめようとしている少年・都村育人と出会い、ともに夢を追って走り続ける姿を描く本作のTVアニメが、2020年1月10日(金)より放送スタートする。放送前の2019年12月14日には先行上映会が実施。超!アニメディアでは、イベント直後に千雪役・花守ゆみりと育人役・花江夏樹を直撃し、先行上映会の感想、作品やそれぞれのキャラクターの魅力などについて、熱く語ってもらった。

自信満々に見えて弱い面もある千雪と、気弱ながら芯のある育人

――まず、演じられているキャラクターについて教えてください。千雪は冒頭だとかなり自信満々に見えました。

花守 負けず嫌いでカリスマ性があるんですよね。モデル系事務所の社長の娘で、「モデルだったらあの子の環境がほしい」と言われるくらい恵まれている。ただ、身長がモデルとしての基準に満たないからひどい扱いも受けちゃうし、その扱いのために無意識に夢をあきらめているところもあったんです。それが育人との出会いによって、夢をあきらめていた自分に気づき、もう一度ちゃんと走り出そうとする。ただ、人を引っ張っていくタイプに見えて、実際のところは「どうしよう」となってしまう弱い一面もあって。そこはかわいくもあります。物語が進むにつれて育人に精神的に助けてもらっているシーンも増えていくのですが、育人に感謝の言葉を素直に言えないところが、彼女らしいなと思います。

花江 千雪はパリコレモデルになりたいという夢をひたむきに追いかけているし、努力もすごくしているんですよね。最初のころは自信満々なところが目に付くけれど、プロ意識が高く、努力家なので、純粋に応援したくなります。性格もサバサバしていて、はっきり物を言ってくれるし、すごくかわいい面もある。まさにヒロインですね。

――一方の育人は、冒頭では学校でもあまり目立たない大人しいタイプです。

花江 育人は、性格的には気弱で、心やさしい感じですね。ファッションデザイナーを目指しているものの、家庭の事情などで就職するかどうか悩んでいたところに千雪と出会い、彼女から「自分に似合う服を作って」と言われて、少しずつ人生が変わっていく。物語が進んでいくうちに、自分の意思を表現することが増えてきて、どんどんかっこよくなっていきます。

花守 育人は「なよなよしている」と言われつつも、自分の思ったことをズバッと相手に伝えられる、芯のあるところも1話から描かれていますよね。ただ、芯はあるのに、なかなか自分に自信が持てない。それが、ファッションデザイナーになる夢を叶えるという目標を得てから、少しずつ変わっていく姿がとても魅力的だと思います。

――最初に原作を読んだときの印象は?

花守 原作の1巻と2巻を最初に読ませていただいたのですが、1巻から泣きました。私は、挫折とそこからの立ち直りって、人が生きてくなかでずっと経験していくものだと思っているんです。それがギュッと込められていた。とにかく共感の連続で、夢中で読み進めて、読み終わったときには「3巻はどこ!?」となりました(笑)。絵は華やかでしたし、キャラクターたちの葛藤に対する向き合い方もすごく魅力的で、とにかく素敵な作品だなと感じました。

花江 絵の美しさは、まず目を引くよね。僕は、ファッションを題材にした作品ということで、最初はわからないことも多いかなと思ったんです。でも、ファッションを知らなくても、読み進めていくうちに世界が見えてくるような丁寧な描き方をされていたし、登場人物たちがそれぞれ持っている夢やそれに向かっていく途中での挫折など、心を動かされるようなシーンやセリフがたくさんあって。どれもファッション業界だからこその特殊なエピソードではなく、自分に置き換えて読める部分がとても魅力的だなと思いました。

――演じる際は、どんなふうにアプローチをしようと考えましたか?

花江 育人は受け身なところがあるので、人が話してから自分が受けてしゃべることを意識しました。考えていることもわかりやすいので、難しく考えずに、素直な気持ちでいることを心がけました。

――それは、自分の意思をはっきりと表に出すときも?

花江 そうですね。本当に腹を決めなきゃというところは、譲れない部分としてはっきりと言うようにしました。ただ、この物語は千雪や育人の成長を描いていくので、はっきりと成長したことがわかるようにと、1話では「もうちょっと弱気にお願いします」というディレクションもいただきました。

花守 育人が最初はあんなにおどおどしていたのに、どんどんたくましくなって、ひとりで進んでいってしまうので、正直さびしさもあります。ただ、千雪が打ちのめされたときも、成長していく彼がまっすぐに励ましてくれるから、千雪も立ち直ることができる。奔放に引っ張っていた千雪のことを、いつの間にか育人が背中を押してくれるようになっているのがすごく素敵で。それもこれも、花江さんのお芝居があってのことだと思います。

花江 ありがとうございます。千雪を演じるのはどうでしたか?

花守 千雪は打ちのめされたときにずぶずぶと自分の沼に落ちてしまうし、打ちのめされる理由が自分の努力でどうにもならない生まれ持ったもののせいだったりもするので、一人で家で練習していたときは、「どうやって立ち直ればいいんだ」って思っていたんです。でも、育人の声を聞けば、それだけで励まされて、負けられないと立ち直れる。私のお芝居は、すごく育人に助けられています。

花江 ゆみりちゃんのお芝居は堂々としていて、頼りになるんですよ。自分のやりたいことが明確にあるという強い意志を感じるので、聞いていて安心感があるし、それが千雪にすごくあっていると思うので、そのままで居続けてほしいですね。

花守 ありがとうございます! うれしいです!