梅宮辰夫さん死去 現場優先、最後まで見せた俳優魂

引用元:日刊スポーツ

俳優梅宮辰夫さんが12日、神奈川県内の病院で亡くなった。81歳だった。

関係者によると、妻のクラウディアさんが梅宮さんの異変に気付き、すぐに病院に運んだという。

【写真】歩行補助器を使い、つらそうな表情で歩く梅宮辰夫

梅宮さんは18年9月に前立腺がん、19年1月には尿管がんの手術を受けた。30代半ばの睾丸(こうがん)がんから実に6度のがんに見舞われてきた。

また、昨年からは人工透析を始めており、娘の梅宮アンナ(46)がブログで「80歳で人工透析に入りました。週3回、1度に4時間」などと明かしていた。

最近になるまで病状を伏せてきたのは、病名が知られると、はつらつとした役が演じにくくなったり、キャスティングから外されることを懸念したからだという。現場に立つことを最優先する俳優魂は最後まで健在だった。

梅宮さんは日大法学部在学中に銀座でスカウトされ、58年東映ニューフェース5期生に合格。翌年、映画「少年探偵団」シリーズで主演デビューを果たした。アクション映画や仁侠(にんきょう)映画で硬派の役柄を演じていたが、私生活が派手になっていくのを見ていた岡田茂プロデューサー(後の東映会長)が私生活に近い役を当て、65年からの「夜の青春シリーズ」、68年からの「不良番長シリーズ」がはまり役となった。

72年には自身が経営する「梅宮企画」倒産で多額の借金を背負った。が、この年のクラウディア夫人との結婚、長女アンナ誕生を機に好転し、翌年スタートの「仁義なき戦い」などの実録路線で、貫禄のある存在感を示した。

75年の「前略おふくろ様」の好演をきっかけに「スクール☆ウォーズ」「はぐれ刑事純情派」「特命係長 只野仁」などのテレビドラマでも名脇役ぶりを発揮した。

20代からの美食ざんまいで肥やした舌を生かし、料理家としての才能も知られ、「梅宮辰夫の漬物本舗」や「梅宮辰夫の炭焼き家 炎園」などの事業も展開した。

芸能界では松方弘樹さんとの盟友関係が知られ、「スクール☆ウォーズ」で夫婦役を演じた和田アキ子とは「あんちゃん」「アッコ」と呼び合う仲だった。バラエティー番組「めちゃめちゃイケてるッ!」で加藤浩次が演じた爆裂お父さんのモデルと言われた。

◆梅宮辰夫(うめみや・たつお) 1938年(昭13)3月11日、中国ハルビン市生まれ。祖父が日露戦争に従軍、その後妻とともに旧満州・奉天に移住していた。終戦後の46年、医師の父は茨城県水戸市の病院に勤務し、一家で移住した。旧満州で子どもの頃から親しんだ釣り好きとしても知られ、釣り番組にも数多く出演した。私生活では、68年、3年間同居し、妊娠中だった岩井常代と婚約を解消。同年12月、銀座のクラブ「姫」のホステス大門節子と結婚するが半年で離婚。72年、米国籍のクラウディア・ビクトリア・ルールダウと再婚して現在に至る。