【祝20周年】『ポケットモンスター金・銀』本当のワクワク感は「クリア後」にあった?

引用元:マグミクス

 ポケモンシリーズの最新作『ポケットモンスター ソード・シールド』は、2019年11月15日(金)からの発売初週で世界累計売上600万本を達成し、改めて子供から大人まで幅広い層を取り込んだポケモンの凄さを実感させました。発売からそろそろ1か月が経とうとしていますが、SNSなどを見る限り、まだまだブームは冷めそうにありません。

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 ところで、今からさかのぼること20年前の秋にも、ポケモンシリーズ作品が世間を大きく賑わせていました。それが、1999年11月21日に発売された『ポケットモンスター金・銀』(以下「ポケモン金銀」)です。

 1999年といえば、ゲームボーイ用ソフトとして誕生した初代『ポケットモンスター』の発売からすでに3年が経過していました。初動こそ地味な立ち上がりでしたが、少年少女の間でたちまち話題となり、クチコミ効果でポケモンはまたたく間にヒットの階段を駆け上がります。

 手元にあったゲーム情報誌「週刊ファミ通」1999年8月20・27日合併号を見てみると、表紙に特集ページと思われる「ポケモンのすべて!」の文字が。その本文には「テレビアニメ版のヒットやマスコミ報道の相乗効果も手伝って、現在(1999年夏)までに800万本に迫るセールスを記録」と書かれており、20年前の時点ですでにポケットモンスターはゲーム業界を超え、アニメやホビーグッズ市場に絶大な影響力を持っていたことが分かります。

 また少し時系列は戻りますが、週刊少年ジャンプで連載されていた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』にも「部長のポケモン奮戦記」という回が載っていたり……一見ゲームとは関係ないテレビ番組や週刊誌などが取り上げたことからも、当時のポケモンブームは目を見張る勢いがあったようです。


【祝20周年】『ポケットモンスター金・銀』本当のワクワク感は「クリア後」にあった?


「ポケモンのすべて!」特集が組まれた「週刊ファミ通」 1999年8月20・27日合併号(筆者所有)。当時のポケモンの影響力の大きさを伝えている

クリア後に体感した”冒険のワクワク感”

 そのような状況で期待と注目を一身に集めながら登場したのが、『ポケモン金銀』です。数回の発売延期を乗り越えた末に、さまざまな新要素を引っさげ、まだ見ぬポケモンとの出会いに心を踊らせる人びとの前に姿を現しました。

 前作から3年後を描いたストーリーと、刷新された冒険の舞台。100種類もの新ポケモンや「はがね」「あく」タイプの実装。ポケモンのタマゴなどなど……『ポケモン金銀』で追加されたコンテンツは多種多様。その中で特に筆者が感動したのは、クリア後に始動した「カントー地方編」です。

 8人のジムリーダーと四天王を突破し、最深部に構えるチャンピオンのワタルも撃破。当時の筆者は「ポケモンリーグもクリアしたし、やっとエンディングか……」と感慨深くスタッフロールを眺めていましたが、これは新たな冒険の始まりに過ぎなかったのです。

 順当にポケモンを捕まえてジムバッジをコンプリートし、最も強いチャンピオンを倒す。これで“『ポケモン金銀』の全て”だと思いこんでいた分、クリア後に前作の舞台であるカントー地方に行けるだけでなく、さらに8人のジムリーダーと戦えると分かった時のインパクトは相当なものでした。

『ポケモン金銀』以降、年度を重ねるごとにクオリティが磨き上げられてきた『ポケットモンスター』。ゲームボリュームの高密度化やブラッシュアップも相まって、昨今のシリーズ作品ではクリア後の「お楽しみ要素」が数多く用意されています。そんなポケモンシリーズが今後も続いて欲しいと期待を込めつつ、またいつの日かゲームボーイカラーのモニター越しに味わった”冒険のワクワク感”に出会いたくなりました。

龍田優貴