始まりは1984年 新語・流行語大賞「金賞・大賞」総数は?

【数字で読み解く芸能界】

 今年の新語・流行語大賞がラグビーの「ONE TEAM」になり、笑わない男・稲垣啓太選手も含めて話題だが、トップ10の「タピる」とかが流行していると思う人は多くないのではないか。

 去年の大賞は「そだねー」だった。はやりは廃れるのが早いが、そもそも話題優先の短期間のはやりだった気もする。

 新語・流行語大賞は1984年から始まり、金賞、大賞(91年以降)はこの36年で67。他の賞を入れると数百の言葉がもてはやされては消えた。記念すべき1回目の新語金賞は「オシンドローム」、もちろん朝ドラ「おしん」のことで、その人気などさまざまな現象を米国のフリー記者が名づけた。

 今からちょうど30年前の89年には「セクシャル・ハラスメント」が新語の金賞。つまり、それ以前は日本語としてのセクハラは存在しなかった。年間大賞にかわった90年代以降は芸能界でいえば「すったもんだがありました」(宮沢りえ/94年)、「同情するなら金をくれ」(安達祐実/同)、「だっちゅーの」(パイレーツ/98年)、「なんでだろ~」(テツandトモ/2003年)など。最近の「ダメよ~ダメダメ」(日本エレキテル連合/14年)だと5年前なのに「誰だったっけ?」となりそうだ。

 もうひとつ、近年は事件や災害や政界スキャンダルとネガティブな出来事が多いが、そういう言葉はあまりトップ10に入れない印象だ(14年に「集団的自衛権」が大賞をとったが)。今年、あるネットの調査で上位に選ばれた「上級国民」はトップ10から外れた。

「ONE TEAM」も「そだねー」も東京五輪に向けてスポーツを盛り上げるのに一役買う形になっているようだが、本当に人々に流通した言葉だけを並べないとシラケてしまい、芸能界にもスポーツ界にも逆効果かもしれない。

(松野大介)