山田洋次監督「言葉を失うほどの衝撃」 俳優志村けん初主演作は幻に 

山田洋次監督「言葉を失うほどの衝撃」 俳優志村けん初主演作は幻に 

 ◇志村けんさん死去

 志村さんは山田洋次監督(88)の「キネマの神様」(12月公開予定)で映画初主演の予定だったが、新型コロナウイルス感染のためクランクイン直前に無念の降板をしていた。それでも、99年「鉄道員(ぽっぽや)」では高倉健さんと共演するなど俳優としても大きな足跡を残した。また、恋多き男としても知られ数々の浮名を流したが、生涯独身を貫いた。

 「キネマの神様」は映画を介して壊れかけた家族が再生していく感動作で、菅田将暉(27)と志村さんが主人公を引き継ぐダブル主演作。4月上旬にクランクイン予定で、志村さんも「大きな勇気と強い意気込み」(所属事務所)で、1~2月に衣装合わせ、安全祈願に出席するなど準備を進めていた。

 しかし、治療に専念するため26日に出演辞退を発表。山田監督は、志村さんとの仕事を熱望していただけに、突然の悲報に「出演辞退でがっかりしていた僕にとって、言葉を失うほどの衝撃です」と事実を受け止め切れない様子。「志村けんさんは日本の喜劇の世界の宝でした。その存在がどれほど貴重だったかを、彼が少しでも自覚して健康に留意してくれていたら、と。彼の早死が口惜(くや)しく残念で残念で仕方ありません」と悔やんだ。