華麗な手さばきで人肉を調理!?“北欧の至宝”が扮するハンニバルの色気に迫る!<写真19点>

引用元:Movie Walker
華麗な手さばきで人肉を調理!?“北欧の至宝”が扮するハンニバルの色気に迫る!<写真19点>

『羊たちの沈黙』(91)などで有名な“ハンニバル・レクター”。人間の臓器や肉を食し「人食いハンニバル」と呼ばれるこの殺人鬼の物語を、2013年時点に置き換え新たに展開したドラマ「HANNIBAL/ハンニバル」が、シリーズ全3作を収めた「HANNIBAL/ハンニバル Blu-ray-BOX フルコース Edition」となって登場!本作でハンニバルを演じたのは、“北欧の至宝”ことマッツ・ミケルセン。得体の知れない怪物を、危険な香りを醸しつつ、色気たっぷりに体現したマッツ版“ハンニバル”の魅力にフォーカスしたい!

【写真を見る】お互いをどう思っているの!?ハンニバルとウィルの怪しすぎる関係…

本作のストーリーは、自閉症スペクトラムの一種を持ち、犯行動機や犯人の感情に共感できるウィル・グレアム(ヒュー・ダンシー)が、FBI行動分析課の長ジャック・クロフォード(ローレンス・フィッシュバーン)の要望で、連続殺人事件の捜査に加えられるところから始まる。捜査による精神崩壊を危惧され、ウィルは高名な精神科医の鑑定を受けることになるが、その人物こそ人食い殺人鬼として暗躍するハンニバル・レクター博士だった…。

■ “BL”要素も!?ハンニバルとウィルのただならぬ関係とは…

ウィルのカウンセリングを行うハンニバル。しかし、ウィルは最初の事件で犯人を射殺して以降、次第に精神が不安定になっていき、夢遊病を患い、幻覚によって追い詰められていく。それもそのはず。表向きはウィルをサポートするハンニバルだが、裏では彼を言葉巧みに洗脳し、記憶までも操作。さらに、彼を連続殺人犯として周囲に誤解させることにも成功する。

そんな経緯から、ウィルへのハンニバルの心証は、さぞ冷酷なものかと思いきや、そうでもないのが本作の肝。彼への好奇心からか、はたまた特別な思いがあるからなのかはわからないが、何かとウィルを気にかけ、耳元で囁き、首もとに手を添えるといったボディタッチを行う。捜査官と犯罪者という立場から、互いをけん制し、殺し合いもするが、その関係の複雑さは一言では言い表せない。ハンニバルの正体が発覚し、彼にFBIの手が迫った際には、駆けつけたウィルの腹部にハンニバルがナイフを突き刺し、血まみれで熱い抱擁を交わすといった難解な愛情表現(※筆者の主観です)も飛び出してしまう。

ウィルもウィルで、ハンニバルを憎んでいるかと思いきや、ワナにハメられ、殺されかけたとしても、どこかハンニバルを欲する表情や言動を見せている(※筆者の主観です)。このような関係性から、劇中では恋愛関係について言及されないものの、二人を恋人同士のように表現したファンアートが作成されるなど、観ている側は様々な妄想を膨らませてしまうのだ。

ちなみに、彼らを演じるマッツとヒューは、アーサー王伝説を史実的な解釈で描いた『キング・アーサー』(04)でも円卓の騎士のトリスタン(マッツ)とガラハッド(ヒュー)として共演。絡みはほとんどないが、その美しさは十分に堪能できるので、ぜひチェックしてみてほしい。

■ 人肉を華麗に調理!食事シーンの秀逸さ

このほか、マッツ版“ハンニバル”の特長として挙げられるのが、そのたたずまいや、所作一つ一つの美しさ。特に、ハンニバルが様々な料理を作り、恍惚の表情を浮かべながら口にするシーンが劇中に何度も登場するが、食材の下ごしらえや包丁さばき、盛りつけまで一切の無駄がなく、ため息が出るほどに完璧なのだ。しかし、料理で使用される肉は、彼によって殺められた犠牲者たち…。

ハンニバルは殺人を犯した際に、その体の一部を戦利品として持ち帰り、切り分けて保存し、ソーセージなどに加工することもある。まな板の上に肺や心臓を置いたかと思えば、見事な手さばきで下処理をしていき、その様子は芸術性すら感じさせる。彼が扱うのは内臓ばかりではない。ある時は、生きたまま獲物のひざ下を切断し、その肉をスパイスと共に葉や粘土で包み、オーブンでジューシーな焼き料理にしてしまう。そして、その料理を足の持ち主に振る舞うという奇行からも、彼のサイコパスぶりが伺えるのだ。

■ マッツの本領発揮!?痛々しい…格闘&拷問シーン

ハンニバルとウィル、FBIや殺人犯たちとの心理戦が中心となる本作だが、過去作で数多くのアクションを披露してきたマッツだけに、生々しいバトルシーンも描かれている。

一見、インテリなハンニバルだが、どこで覚えたのか格闘戦も得意。大柄なジャック相手に互角以上の戦いを繰り広げ、複数の男を相手にしても怯むことなく応戦している。その戦いぶりも、包丁やタオル、冷蔵庫のドアなど周囲にあるものを効率的に使用し、元外科医という経歴から人体の構造を熟知しており、急所を的確に攻撃し、大腿部への一撃で敵を死へといざなうことも。

無敵に思えるハンニバルだが、時には敵の手中に落ちてしまう。不意打ちで捕らえられた際には、両手首を切られた状態で首に縄をかけられ、不安定なバケツの上に立たされるという陰湿な拷問を受けている。マッツと言えば、拷問されるキャラクターも大勢演じているので、そういう意味では、彼の魅力が味わえる本作の見どころの一つと言えるだろう。

ヨーロッパの良作から、近年は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)や『ドクター・ストレンジ』(16)といったハリウッド大作でも活躍するマッツ・ミケルセン。そんな彼の一番のハマり役とも呼び声高い、ハンニバル・レクター博士の不気味な妖艶さを、本作でじっくりと味わってほしい。(Movie Walker・文/トライワークス(平尾嘉浩))