素顔の三島由紀夫“伝説の討論会” 20日公開「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」

引用元:夕刊フジ

 没後50年の今年、三島由紀夫がスクリーンによみがえる。20日公開のドキュメンタリー映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』。“伝説の討論会”を通して浮かび上がる三島の素顔とは-。

 国際的な知名度も高い文豪であり、民兵組織「楯の会」を率いた天皇主義者でもあった。そんな三島が東大全共闘に招かれ、駒場キャンバスに単身で乗り込んだ。

 1969年5月13日、1000人の学生を相手取った討論会。右翼と左翼。真逆の両者の対決は異様な緊張感に包まれていた。ところが、全共闘側の司会者が思わず口にした「三島先生」という呼びかけに、三島は大笑い。その後は意外な展開を見せ始める。

 「言葉の有効性を試しにきた」という三島は、丁寧に誠実に言葉を尽くしていく。激高することもなく、ユーモアさえ交えて。翌年11月25日の割腹自殺のインパクトが強烈すぎて、その落差に驚かされる。

 映画はTBSが保管する貴重な映像を基に、現場にいた元東大全共闘のメンバー、元楯の会の会員、三島と親交のあった作家の瀬戸内寂聴氏ら13人の証言で構成されている。

 豊島圭介監督(48)は「当時を知らない僕がフラットな目で討論会の映像を見た。三島はものすごくダンディーで生き生きとしていたので、どう生きたかをテーマにしようと思った」と語る。

 自らが13人にインタビューしたが「全共闘側の人たちが、三島と会ったあの日のことを本当に楽しそうに話すのが印象的だった」とも。

 どんなに立場や意見が違っても相手をリスペクトし、正々堂々と言葉の力で説得を試みた三島。その対極にあるのが、無責任な発言が飛び交うネットの世界か。

 「口汚く罵(ののし)り合ったりする現状は非常に醜い。この映画には本当の議論を交わす姿がある。若い世代に見てほしい」と豊島監督は力を込める。

 ついでに国会議員にも見てほしい?!(田中宏子)