「au三太郎」生みの親・浜崎慎治氏、初メガホン「誰も見たことのない広瀬すずに期待して」吉沢亮ら豪華キャスト集結…「一度死んでみた」

引用元:スポーツ報知
「au三太郎」生みの親・浜崎慎治氏、初メガホン「誰も見たことのない広瀬すずに期待して」吉沢亮ら豪華キャスト集結…「一度死んでみた」

 CMディレクターの浜崎慎治氏(43)が映画監督に初挑戦した「一度死んでみた」が20日に公開される。au「三太郎シリーズ」など、15秒の世界で勝負する敏腕クリエイターは随所に笑いの仕掛けを施し、「小ネタの集合体」とも言える斬新なコメディー映画を完成させた。「CMと映画は100メートルとマラソンくらい違う」と言いつつ、広瀬すず(21)をコメディエンヌとして開花させ、「誰も見たことのない広瀬すずに期待してください」とアピールした。(有野 博幸)

 デスメタルバンドのボーカル役でコメディーに初挑戦した広瀬のセンスに驚かされた。うそ泣きをする場面が特に印象的で「あれだけの美貌を持った人が、鼻をピクピクさせて崩した顔を見せてくれた。恥ずかしさがあると笑えなくなるけど、思いっきり振り切ってやってくれた」。その場面で作品の成功を確信した。

 広瀬のほかにも吉沢亮(26)ら豪華キャストがそろった。「このキャスティングは広告業界の人間だからこそ実現できた武器だし、映画の力ですね」。日野自動車「ヒノノニトン」のCMでもコンビを組んだ堤真一(55)、リリー・フランキー(56)には「自由に演じてもらいました。あの2人なら放っておいても面白くなる」と信頼を寄せる。

 少ない出演シーンでも妻夫木聡(39)、佐藤健(30)、城田優(34)、竹中直人(63)ら主役級の人気俳優が次々と登場する。「かなりのお祭り騒ぎになって、CM的ですよね。毎日すごい豪華な俳優が現場に来てくれた。俳優たちと同じゴールを目指して、意見を出し合っていく作業が、大人の文化祭みたいで楽しかった」。わずかな時間でメッセージを伝えるCM的な要素を盛り込み、ぜいたくな映画を完成させた。

 auとはライバル関係でもあるソフトバンク「白戸家」シリーズなどで知られるCMプランナーの澤本嘉光氏(53)と強力タッグを結成した。澤本氏の脚本には「最初に読んだ瞬間、一気にイメージが湧き上がり、音楽が聞こえてきました」。CMを主戦場としている2人の真骨頂が随所にちりばめられている。「僕も澤本さんも、小ネタが大好き。隙あらば笑いを入れてくる。ちょっとでも笑わそうとする。小ネタが集合体になって大きなうねりになりました」と胸を張る。

 澤本氏から「コメディーを恥ずかしがらずにやれる羞恥(しゅうち)心のない監督にお願いしたいと思い、浜ちゃんが思い浮かびました(笑い)」と誘われ、映画監督デビューを飾った。気心の知れた広告業界の先輩からの期待に応えるべく「求められていることは普段通り。隅っこを狙わずにベタな真ん中、王道の笑いを狙っていこう」と気負わず、撮影に臨んだ。

 「映画で世の中にメッセージを伝えようとする社会派の監督もいますけど、僕はエンターテインメントが好き。楽しませることが大事。ライバルは、ほかの映画監督ではなく、遊園地やテーマパークだと思っています」。撮影現場では誰よりも腰が低く、出演者にイジられることもあるが、自由な雰囲気作りを心掛けた。「決まり事以上のことが生まれると、作品に勢いがつく」と現場での化学反応を大事にしている。

 CMは通常15秒や30秒だが、本作の上映時間は93分。撮影を通じて「CMと映画は同じ映像でも、100メートルとマラソンくらい違う。映画は小ネタだけでは勝負できない。芯となるストーリーが大事で、そこに肉付けしていく作業が必要になる」と実感した。「人を笑わせるのは、一番難しいこと。だからこそ、やりがいを感じる。今後もコメディー映画を撮りたい」と次回作にも意欲を見せている。

 ◆「一度死んでみた」

 反抗期を引きずっている女子大生の七瀬(広瀬)は日々、売れないデスメタルバンドのボーカルとして父・計(堤)への不満をシャウトしている。ある日、計が自ら経営する製薬会社で発明された「2日間だけ死んじゃう薬」で仮死状態に。ところが、ライバル社の陰謀で本当に火葬されてしまいそうになり、七瀬は計の秘書・松岡(吉沢)と力を合わせて父を救うため奮闘する。

 ◆浜崎 慎治(はまさき・しんじ)1976年10月18日、鳥取県生まれ。43歳。CMディレクターとしてKDDI/au「三太郎」、日野自動車「ヒノノニトン」、家庭教師のトライ「ハイジ」、花王「アタックZERO」などを手がける。ACCグランプリ、広告電通賞優秀賞など受賞多数。100作以上の「三太郎」シリーズはCM好感度5年連続1位。 報知新聞社