「エロと硬派」 “禁”を破りながら両軸運転 俳優・沢村一樹の気概

引用元:オリコン
「エロと硬派」 “禁”を破りながら両軸運転 俳優・沢村一樹の気概

 シーズン4を迎えた『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)最新作で主演を務める沢村一樹。演じるのは警視庁未然犯罪捜査班(ミハン)のリーダー・井沢範人だ。沢村といえば、「演技派」、「二枚目」などと共に、過去には「エロ男爵」の称号も。バラエティ番組などで今でもその片鱗を見せることはあるが、今では52歳を迎え、「演技派俳優」の面が色濃い。一度バラエティに染まるとキャラ付け、イメージ共に俳優路線に戻るのは難しいが、52歳にしてそれでも躍進を続ける沢村一樹の魅力とは。

【劇中カット】『絶対零度』で水野美紀に顔を寄せて詰め寄る沢村一樹

■二枚目を断ち切るために開放した「エロ」 実は演技派俳優を作る基盤に

 沢村一樹は1967年鹿児島生まれ。20歳で上京し、モデルとして芸能生活をスタートさせた。その後、俳優として『続・星の金貨』(日本テレビ系)、『救命病棟24時』(フジテレビ系)、『ショムニ』(同系)、『ごくせん』(日テレ系)などに出演。2000年からは2時間サスペンス「浅見光彦」シリーズ(TBS系)で、辰巳琢郎から主人公・浅見光彦を引き継いだ。そして2006年、『サラリーマンNEO』(NHK総合)で“セクスィー部長”という強烈な役柄を。劇中で突然、照明がピンクになり、引き締まったお尻を振りながら登場する色香恋次郎(沢村)の姿は、決して“二枚目”のものではなかった。

 この後もバラエティ番組で下ネタ発言を繰り返し、ついに『行列のできる法律相談所』(日テレ系)で、島田紳助から「エロ男爵」のあだ名を。同番組では、沢村は「おっぱいは大きさでも形でもなくて…味です。味覚の話ではないですよ、“味”があるってことです」と、珠玉のコメント。また、劇場版『仮面ライダーゴースト』の完成披露試写会では、「浴衣は日本の発明品。何がいいって、(女性の)うなじ。よい子のみんなは、きょうは『うなじ』という言葉を覚えて帰ってください。ではご一緒に。『うなじ』!」とちびっこたちに唱和を求め、司会者から「よい子のみんなは、言わなくていいですよ」と叱られるなどもしていた。

 「この背景には、二枚目役ばかりオファーされることへの危機があったようです」と話すのは、沢村一樹のインタビュー経験も多いメディア研究家の衣輪晋一氏。「そもそも俳優デビューが29歳の遅咲き。人気を博しましたが、一つ頭抜けるには、年齢的にも厳しくなりつつあった。彼が下ネタを解放したのは40歳前で、当時は今のように“おじさん俳優”がこぞって人気を博す時代ではなかった。二枚目役が次々と若手に奪われていくのを見た当時の沢村さんは、相当な焦りを感じていたと聞いています」(同氏)

「エロ」の解放が功を奏したのか、その後良作にも恵まれ始めた(『DOCTORS~最強の名医~』(テレ朝系)、『ナポレオンの村』(TBS系)など)。そして2018年の『西郷どん』(NHK総合)の制作発表会見では、“エロを完全封印”と発言。自身で確立させたブランド力への自信ともとれる。