トム・ハンクス、夫婦で新型コロナ感染…妻リタ・ウィルソンと豪滞在中に

 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日(日本時間12日)、新型コロナウイルス感染症について「パンデミック(世界的大流行)と表現できるとの判断に至った」と表明した。世界の感染者数が約12万人に上る現状で、各国に取り組み強化を促した。一方で米人気俳優トム・ハンクス(63)が同日、映画撮影の準備のため訪れたオーストラリアで感染したとツイッターで告白。同ウイルスが世界中で蔓延する状況を象徴する事態となった。

 米国を代表する名優が、訪問先でウイルス禍に遭遇した。ハンクスによると、映画撮影の準備のため、妻で女優のリタ・ウィルソン(63)とともにゴールドコーストに滞在。2人は風邪のような症状に見舞われて疲れや体の痛みなどを感じ、ウイルス検査を受けたところ、ともに陽性が判明した。

 「さて、どうなるのか? 医療関係者も手順を守らなければいけない。私たちは検査を受け、観察され、公衆衛生と安全性が必要とされる期間、隔離されることになる。毎日、地道にやっていくしかない」とし、今後も状況を公表する予定だ。

 ハンクスは米国の伝説的歌手、エルビス・プレスリーの生涯を描いた映画で、プレスリーをトップスターに育て上げたマネジャーのトム・パーカー役を演じる予定。その撮影準備でオーストラリアを訪れたが、現地の感染者は120人以上に上っていた。

 米メディアによると、映画の撮影は始まっていない。公開は2021年の予定だが、配給のワーナーブラザーズジャパンは「現状、公開日を延期するなどの予定はない」と説明している。

 ハンクスは映画「フィラデルフィア」(1993年)と「フォレストガンプ/一期一会」(94年)で、米アカデミー賞主演男優賞を2年連続受賞。オスカー俳優の異国での感染は、世界的蔓延を象徴する事態だ。

 WHOのテドロス事務局長は「パンデミックと表現できるとの判断に至った」と表明。「パンデミック」は、WHOの規定上はインフルエンザに対してのみ使用され、新型コロナウイルスでは本来適用されない。「パンデミック」と形容することで事態の深刻さを訴え、各国に一層の取り組み強化を促した形だ。

 12日時点で、世界の感染者数は約12万人、死者は約4400人。テドロス氏は「感染者や死者、国の数は今後も増えるとみられる」と予測する。今後は感染経路特定などの拡大防止策一辺倒ではなく、社会的・経済的な影響の緩和や、発症者の治療といった対症療法にも注力する必要があると訴えた。