俺つぇえ!ではない「なろう系」 アニメ『インフィニット・デンドログラム』の魅力

引用元:マグミクス
俺つぇえ!ではない「なろう系」 アニメ『インフィニット・デンドログラム』の魅力

 2020年1月9日より、TOKYO MXほかにて放送が開始された深夜アニメ『インフィニット・デンドログラム』。原作は海道左近氏による同名の小説。2016年に「小説家になろう」VRゲーム部門で年間ランキング1位を獲得し、「新作ラノベ総選挙2017」ランキング1位、「このラノベがすごい!」2018年度文庫部門新作第2位と、数々のタイトルに名を連ねた作品です。

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 物語の舞台は近未来。2043年7月15日、プレイヤーの性格や思考、行動によって無限パターンに進化を辿るシステム「エンブリオ」を用いたダイブ型VRMMO『インフィニット・デンドログラム』が発売され世界で大ヒットします。大学受験を終えた椋鳥玲二(CV:斉藤壮馬)は念願の『インフィニット・デンドログラム』の世界にレイ・スターリングという名で降り立ちます。

そして、このゲーム最大の特徴は「エンブリオ」と呼ばれる存在です。「エンブリオ」とは、プレイヤーが本人の願望、悩みや人格などのパーソナルデータと、ゲーム内の行動を反映させて誕生する存在で、さまざまな能力を持ち、進化もしていきます。 レイには、第1話のラストで「エンブリオ」として少女ネメシス(CV:大野柚布子)が登場。ネメシスは武器に変身できる能力を持ちます。

「なろう系」小説や、異世界転生・転移ものはもはやブームではなく、すでにひとつのジャンルとして確立されています。「他の誰かになってみたい」や「他の世界に行ってみたい」という変身願望は多かれ少なかれ誰にでもあるものなので、このジャンルの人気が高いのもうなずけます。ダイブ型VRMMOを扱った作品というと、『ソードアート・オンライン』や『オーバーロード』などが代表作として挙げられます。我々がいる現実から異世界に行くとなると、ゲームのなかというのがリアリティもあって手っ取り早いのです。

 一見すると、使い古された要素のようですが、『インフィニット・デンドログラム』の人気には理由があります。まず、「主人公がいきなり最強」ではないことです。「なろう系」作品の多くの主人公はチート級の能力を有し、物語のスタート時にいきなり最強のクラスになってしまいます。もちろんそれこそが、「なろう系」作品の新しさだったのですが、そればかりだと読者も飽きてきます。レイとネメシスは徐々に装備を換え、新しい能力を身に付け、強くなっていきます。どこか懐かしい親しみやすさが、この『インフィニット・デンドログラム』にはあるのです。

 もう一点は、ゲームの世界に終始している点にあります。ダイブ型VRMMOをフィクションの世界で扱うと、「ゲームから出られなくなってしまう」「ゲームオーバーがそのまま現実での死となってしまう」という作品が多いなか、『インフィニット・デンドログラム』は違います。ゲーム内で死んでしまった場合は、24時間ログインができなくなるというペナルティが与えられます。現実世界の1時間はゲーム世界の3時間に相当するため、自分がログインできない間にゲーム中の出来事が進んでしまうという点が、ユーザーにとって「死ねない」理由です。

 現在、第8話の放送が終了。「超級激突イベント」で、Mr.フランクリン(CV: 松岡禎丞)が登場し、物語が大きく動きます。より強いキャラたちの戦闘シーンが増え、最終回に向けてますます目が離せない展開となることでしょう。