井上真央、女優としての覚悟と喜び

 経験と年齢を重ねて女優としてまたひと際、輝きを増している井上真央。ドラマ「少年寅次郎」で見せた“昭和のお母ちゃん”役も話題を呼んだが、周防正行監督5年ぶりの新作となる映画『カツベン!』では、物語を引っ掻き回す悪女役として登場する。30代を迎えて「いままでやったことのないような役をいただく機会が増えた。すごくうれしいですし、自分自身も楽しい」という井上。作品に身を投じるごとに「伝えることの責任を実感している」という彼女が、女優としての喜びや覚悟を明かした。

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 本作は、およそ100年前を舞台に活動弁士になることを夢見る主人公・俊太郎(成田凌)と、彼を取り巻く人々を描く青春活劇。井上は、俊太郎が働く映画館・青木館のライバル会社の社長令嬢、琴江を演じている。青木館の経営の邪魔をするなど、ヒールとも言える役に挑んだ。

 井上は「周防組は初めてでしたが、琴江のような役で参加できるのはとても楽しみでした」と喜びと共に参戦したそうで、「周防監督からは『当時のモダンガールを思い切り楽しんでほしい』と言われました。自分の映画館を盛り上げたいという、キャリアーウーマンとしての思い。活弁に夢中になっている一人の女性としての姿がチャーミングに映ったらいいなと思っていました」と勢いのある女性を楽しんで演じたという。


井上真央、女優としての覚悟と喜び


(C) 2019「カツベン!」製作委員会

 本作だけでなく、『焼肉ドラゴン』(2018)で演じた、大泉洋を相手に関西弁でまくしたてる女性役も記憶に新しく、近年の井上はこれまでのイメージを覆すような役柄に次々と挑戦している。「年齢的なものもあるのかもしれませんが、いままでやったことのない役をいただくようになって、こちらもそういった出会いを楽しめるようになったと思います」とニッコリ。新境地に飛び込む上では「もちろんプレッシャーも感じる」そう。「慎重なところがあり、どうやったらいいんだろうと悩むこともあります。でも緊張やプレッシャーを感じることは、必要なことだと思っていて。それはどんな役を演じるときも変わらないですね」と真摯な思いを打ち明ける。

 「もともと慎重派」というが、32歳となったいま、女優業に励む上で大切にしているのが「勇気を出すこと」なのだとか。「20代のときには、なんにでもチャレンジしていく勇気だったように思います。でもいまは、きちんと『自分がどう思うのか、どう感じるのか』を大事にする。そういった自分の心に向き合う勇気や、そのための時間を大切にしたい」と勇気の持ち方も変わってきたという。