復帰宣言が逆効果 チュート徳井が見落としてしまったこと

復帰宣言が逆効果 チュート徳井が見落としてしまったこと

【芸能界クロスロード】

 昨年10月、申告漏れと所得隠しが発覚。自ら芸能活動を自粛していたチュートリアルの徳井義実が復帰宣言した。

 俳優や歌手は映画やコンサートで改めて宣言することもなく復帰を果たすことができる。テレビタレントとなると唐突に番組復帰は難しい。

「テレビ局も世間にはっきりケジメをつけてもらい、反応を見てから起用したいのが本音。不特定多数の人が見る番組では不快感を持つ人のクレームも避けたいし、スポンサーの事前の了承も必要になる」(民放関係者)

 そのため、タレントは世間に対してのケジメをつけるために策を練る。宮迫博之はユーチューブで謝罪して復帰。田村亮は相方・田村淳とのコンビでライブを復活の場とした。相次ぐ芸人仲間の復活に刺激を受けたように、徳井義実は旧知の芸能記者のインタビューで反省の弁を語り復帰宣言とした。

 三者三様の復帰模様。宮迫はユーチューバーとして面白映像を流しているが、縦横無尽にテレビで活躍してきただけに、現状を「イタイ」と感じる声も多く、反応はジリ貧状態。テレビ復帰はさらに遠のいたように見える。一方、亮は堅実さが功を奏した。相方のサポートもあり、早々にかつてのレギュラー番組「ロンドンハーツ」(テレビ朝日系)に4月からの復帰が決まった。真打ち登場となった徳井だが、使ったケジメのつけ方はもっとも古典的な方法。不祥事を起こしたタレントが復活をする場合、反省している姿をメディアでアピールする方法がよくあった。

■かつては座禅修行や事務所でお茶くみも…

 寺にこもり座禅や修行している姿を撮らせた歌手もいれば、事務所でお茶くみをしているアイドルもいた。反省している姿をメディアに流すことでケジメをつけようとしたのだが、「ポーズじゃないの。本当に反省しているの」と勘繰られてしまい、逆効果になることもあったが、当時はネットのない社会。非難を浴びることなく間もなく復帰した。徳井は寺でもお茶くみでもなく、独占インタビューの形で語った反省の弁を文字でつづった。

 ネットから新聞や口コミで広がったが、地上波や週刊誌のような反響は小さく、批判的な声のほうが多くなっている。闇営業よりも悪印象を持たれる脱税。何を話しても言い訳に思われてしまう一面もあるが、要因は別にある。

 一部にだけ答えた一方的な反省の弁。うがった見方をすれば、文章にしたものは修正が利くのは素人でもわかる。「本当に反省しているの?」と勘繰られてしまいがち。どう反省して、どうやり直すのか話すのなら、生の会見を選択すべきだった。言葉だけでなく表情などもわかりやすく、真意が伝わりやすい。

 かつて、フライデー殴り込み事件などを起こしたビートたけしは、きちんと会見を開き、自分の言葉で語り復帰を果たした。

 先人に学ぶのが窮地を乗り切る指針になるもの。同じ闇営業の問題なのに、宮迫はユーチューブを選択。長々と謝罪して余計な批判を浴びる結果になった。亮はライブの後、きちんと会見も行い、早々のテレビ復帰につながった。徳井はいいお手本を見落としたように思う。

(二田一比古/ジャーナリスト)