ピュアな想いに心揺さぶられて。最新ロマンス映画3作

引用元:VOGUE GIRL
ピュアな想いに心揺さぶられて。最新ロマンス映画3作

昔の恋人との再会に、突然の出会い。形はどうあれ、人をまっすぐに想う気持ちは心を揺さぶるもの。劇場最新公開作から注目のロマンス映画を厳選!

「初恋」の場面をもっと見る ピュアな想いに心揺さぶられて。最新ロマンス映画3作 2020「初恋」製作委員会

『初恋』

窪田正孝主演でおくる、過激な純愛映画『初恋』は、余命宣告されたボクサーが、少女と出会い、図らずも逃避行することになる一夜を中心に描いた物語。ヤクザあり、中国マフィアありと、血の気の多いエンターテイメントの中に、ピュアな思いが浮かび上がる。

プロボクサー・葛城レオ(窪田)は、ある試合後に受けた診察で、余命いくばくもない病に冒されていることを告げられ、あてもなく歌舞伎町を彷徨っていた。そんなレオの前に、男に追われている少女モニカが駆け抜け、レオはとっさに男をKOしてしまう。だが、男はヤクザと手を組む悪徳刑事で、レオとモニカはさまざまな組織から追われることに……。

余命宣告を受けて自暴自棄になり、葛藤を見せながらも、少女を守ろうとする窪田の無骨な演技は素晴らしい出来栄え。加えて、肝っ玉の小さい刑事・大伴役の大森南朋、振り切れた凄まじさが助演男優賞ものの加瀬役の染谷将太、時代遅れな武闘派ヤクザ・権藤を演じた内野聖陽ら、血で血を洗うような戦いを見せた男たちの弾けっぷりも、作品をいっそう盛り上げている。『クローズZERO』シリーズ、『十三人の刺客』などの三池崇史監督だからこそ作り出せる、“男の恰好よさ”を髄まで堪能できる1作をお見逃しなく。

『初恋』
2020年2月28日(金)より全国公開中
https://hatsukoi-movie.jp/
配給:東映 ピュアな想いに心揺さぶられて。最新ロマンス映画3作 2019 STUDIO68

『ソン・ランの響き』

タイトルに用いられている「ソン・ラン」とは、ベトナムの民族楽器の呼び名のことであり、「ふたりの(Song)・男(Lang)」という意味でもある。タイトルにぴったりの、違う世界に生きる青年同士が出会い共鳴し合う物語からは、感動と少しの衝撃が湧き起こり、ノスタルジックなベトナムの景色や、哀愁を誘う歌曲とともに余韻を残す。

1980年代のサイゴン。裏町を仕切る高利貸し屋で働くユンは、借金の取り立てのため伝統歌舞劇・カイルオンの劇場に出向き、花形役者リンと出会う。ある夜、食堂で酔っぱらいにからまれ、殴り合いになったリンは昏倒し、たまたま居合わせたユンが加勢し助けることに。友情とも呼べないぎこちない関係性のふたりだったが、やがて互いに強い関心を向けることになる。

周りからは「雷のユン兄貴」と恐れられ、表情を変えないユンに、リンと心を通わせることで変化が起こる。注目は、それぞれの身の上話をポツリポツリと話す、長く静かな夜のシーン。停電の中、月明かりを見上げ、得も言われぬ思いを共有する様子を“恋”と取るにはあまりにも憶説かもしれないが、いつまでも見ていたくなる美しさに、きっと惚れ惚れしてしまうはず。

『ソン・ランの響き』
2020年2月22日(土)より新宿K’s cinemaほか公開中
http://www.pan-dora.co.jp/songlang/
配給:ムービー・アクト・プロジェクト