特殊な日本の就活市場「企業に向いている若者を探すのが就活」!?

引用元:TOKYO FM+
特殊な日本の就活市場「企業に向いている若者を探すのが就活」!?

高橋みなみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「高橋みなみの『これから、何する?』」。毎週火曜日は、慶應義塾大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純さんとお届け。3月3日(火)の放送では「就活とキャリア~天職の見つけ方」をテーマにお送りしました。

3月から各社のエントリーや会社説明会などが始まります。そこで今回はあらためて働き方を見つめ直し、「就活とは何か、キャリアとは何か」について話し合いました。

若新さんによると「日本の就活市場は特殊」。企業側が新卒に求める条件は“真っ白で伸びしろがある人材”で、企業が人材を育てていくのが一般的とのこと。たかみなが「真っ白ということは、自分の望む就職ができるわけでないわけですよね」と尋ねると、若新さんは「企業側は22歳の若者の向き不向きや個性に合わせて採用しない。この時点で、自分に向いた仕事を探そうと考えても、構造上無理」と同意します。

また「多くの先進国の場合は、卒業後にいろんなバイトやインターンを経験して興味の対象が見えてきて、もう一度学校で学び直したりする。この仕事が“天職”とわかるのは30代も半ばを過ぎてから。日本の場合、『自分に向いている仕事を探すのが就職』ではなく『企業に向いている若者を探すのが就活』なんです」とも。働き方改革などで意識の変化はありますが、まだまだ“真っ白”を求める考え方は根深いようです。

一方で「自分にはこれしかない!」と早急に決めつけるのも危険だと若新さんは言います。「キャリアアップより『キャリアストレッチ』という考えで、苦手だと思い込んでいる仕事、分野が違う仕事に柔軟に取り組むことで、じわじわと自分の本当の才能に気づけるのでは」と提案しました。

さらには「キャリアの語源は(車などの)轍(わだち)から。つまり道ではないんです。人生は振り返ってみないとどんなものかがわからない。大事なのは計画してうまくいくより、偶然などで結果的に体験したことから人生をあぶり出していくこと。事前に中学生のころから『俺のキャリアプランはこうだ』というのは(どうかと)……」と話します。

どんな気持ちで取り組んでいるか、納得感を得ているかどうか、キャリアとは「一概に条件が合えばよいというものではない」と若新さん。「今までの経験が自分を作る、というのが轍を語源としたキャリアの考え方。大変なこと、悲しいことも含めて自分で受け入れるのが大事ではないでしょうか」とまとめました。

また、この日は番組公式Twitterで「今の仕事を選んだ理由はなんですか? また、これから仕事を見つける人は何を理由に選びますか?」との内容でアンケートを実施。結果は「憧れの・やりたい仕事」30%、「やりがいのある仕事」28%、「仕事量に見合った賃金」16%、「休みが多い・取りやすい」26%という結果となりました。

(TOKYO FM「高橋みなみの『これから、何する?』」2020年3月3日(火)放送より)