【こだわりの極意】
菅正博という男。彼の店「鮨 すがひさ」は“変態鮨(すし)コース”をひっさげてグルメ界の知る人ぞ知る存在になりつつあるが、その進化が止まらない。
以前は、しめサバが生春巻きで包んであったり、〆(しめ)が鮨屋なのにレッドカレーやカオマンガイだったりと、分かりやすいといえば分かりやすい変態だったが、いまや計り知れない。
とにかく、えええ?! という料理から始まる。見たところ何の変哲もないイカの塩辛。ところがひとたび口に入れれば、そこに広がるのはレモングラスとエスニックには欠かせないコブミカンの葉、バイマックルーの味わい! なんじゃこりゃ~!
でも、やたらとうまいな、これ。それにのり巻きを食べれば、納豆にクミンが入ってたり、タイのハーブが巻いてあったりと出だしから度肝を抜かれる。握りのシャリにもハーブやら企業秘密の隠し味やらが。そのどれもが変態(タイ)コースの名に恥じないエスニック仕立て。
〆の酢飯のタイカレーは、某回転鮨チェーンよりひと足早くコースで出していた「すがひさ」にとっての超定番ではあるものの、最後の最後のタイカレーラーメンには、ブリ大根の、あのしみた大根をほうふつとさせるウンマイ大根の煮たのが乗ってるじゃないの! いや~たまらない! これだから、「すがひさ」はやめられない。
最近、とみに普通の鮨もうまくなったし、これは菅ちゃん、まだまだ突っ走っていくな。鮨酢の研究、シャリの研究、いまだに握り方を習いに行く向上心。オリンピックイヤーの今年も菅正博から目が離せない。
■高嶋政宏(たかしま・まさひろ) 1965年10月29日生まれ。東京都出身。87年、映画「トットチャンネル」で俳優デビュー。映画「AI崩壊」が公開中。また、CS旅チャンネルで「高嶋政宏の旅番長“激動!ベトナム縦断編”」も放送中。
今回紹介の「鮨 すがひさ」は川崎市高津区久本1の16の15(044・750・7369)。
進化が止まらない!「鮨 すがひさ」の“変態鮨コース”
引用元:夕刊フジ