新井浩文が俳優に戻るには10年、20年の下積み覚悟が必要【城下尊之「芸能界仕事術」】

城下尊之【芸能界仕事術】

 強制性交罪で懲役5年の実刑判決が出た元俳優の新井浩文被告(40)。判決を受けて、それを不服として即日控訴した。

 一部のマスコミでは、芸能人の裁判で初犯の実刑判決は珍しいと表現されていたが、強制性交罪として当然の判決だ。

 そもそも、重い罪にするべきだとして2017年に改正された法律(5年以上20年以下の懲役)であり、3年以下の刑に付く執行猶予を基本的に付けられないようにするための法改正だった。

 それまでは、強姦罪(懲役3年以上)と言われて、親告罪であり、被害者の被害届、告訴がなければ成立しない罪だった。そのため、事件の後、示談を成立させることで被害届を取り下げさせ、即日釈放というケースも多かった。芸能人の事件でも同様の例を覚えている人は多いはずだ。

 今回は厳罰化した後に初めて芸能人が逮捕され、注目を集めていたのだから、厳しくなったと知らしめる意味での効果は十分にあったと思う。

 もちろん、わずかではあるが、執行猶予が付く可能性はあった。友人の弁護士によると、「まず懲役5年以上だから、最低の5年でも執行猶予は無理。だから情状酌量をしてもらい、何とか懲役3年の判決に持っていってもらう。そこで初めて執行猶予の最長の5年という猶予が付く可能性が出てくる」のだという。 それにはまず、被害者との示談を成立させ、厳罰は望まないとの一筆をもらう。できれば、減刑嘆願書を書いてもらうくらいでないとダメなんだそうだ。

 裁判前、新井被告側は示談を成立させるため、まず1000万円、それがダメだとなって2000万円の示談金を用意したといわれているが、被害者の処罰感情が強く、不成立となっている。伝え聞くところによると、被害者側は裁判の中で新井被告が心の底から反省し、後悔し、おわびする姿と言葉が認められれば、裁判中でも示談に応じるつもりだったという。

 それなのに公判で無罪を主張したわけだから、うまくいくはずもない。控訴した今が最後のチャンスかもしれないが、保釈となっている今、控訴棄却の判断が出るとアウトなので、できるだけ早く、被害者に自ら心からの謝罪をし、納得してもらった上で示談に応じてもらうしかない。事情が変わったとして控訴審を迎えるべきなのだ。

 それでも実刑は免れまいが、多少の減刑の可能性は出てくるというものだ。

 保釈中、新井被告は俳優仲間におわび行脚したそうだが、仲間は戻ってきたら共演すると言ってくれても、製作側は難しい。戻ってきて本当に俳優でいきたいのなら、受け入れてくれる小劇団などからスタートし、10年、20年を覚悟する必要があると思う。

(城下尊之/芸能ジャーナリスト)