CLAMP大川七瀬氏ら、今のアニメ業界に警鐘 良作「作れない」グッズ売上結果の影響

引用元:オリコン
CLAMP大川七瀬氏ら、今のアニメ業界に警鐘 良作「作れない」グッズ売上結果の影響

 Netflixが25日、都内でアニメコンテンツの拡充に向けた新規施策に関する記者説明会を開催。新たなオリジナル企画・制作における取り組みとして、日本を代表するクリエイター6人(CLAMP、樹林伸氏、太田垣康男氏、乙一氏、冲方丁氏、ヤマザキマリ氏)とパートナーシップを結んだと発表した。ゲストとして人気漫画『魔法騎士レイアース』『カードキャプターさくら』などで知られる女性漫画家集団・CLAMPの大川七瀬氏、『金田一少年の事件簿』原作者の樹林氏が登壇し、今のアニメ業界の現状を伝えた。

【写真】Netflixとパートナーシップを結んだクリエイター・樹林伸氏らが出席

 今回の説明会では、日本を拠点とするアニメの“クリエイティブ・ホーム”に迎え入れ、日本発のオリジナルアニメを強化し、世界190ヶ国配信していくことが発表。パートナーシップを発表した6人は、漫画家、小説家、映画監督など多様な分野で、世界的なアニメ人気に大きく貢献しているトップランナーで、Netflixは、日本をアニメにおけるクリエイティブの拠点として、新たなオリジナルアニメの企画・制作を強化する。

 今現状のアニメ制作における現状と課題について樹林氏は「今まではスポンサーありきだったり、テレビなりのコードというのがアニメには付き物でした。(アニメは)『子ども向け』の空気感が抜き切れていない感じで、そういう部分を加味しながらやっていかなくてはいけませんでした」と現状を説明。

 さらに「漫画の(表現の仕方が)うるさくなってきている時代なので、そこはこれから改善していかなくてはいけない部分だと思います。Netflixさんのような自由な環境で、これらを取り払ってもらえればと思います。また、今まではテレビが引っ張っていたのが、今度は配信の新しい考え方が主流になれば。僕の目からいうとテレビや地上波よりかは自由なので、業界を変えていければと思います」と制作視点からネット配信の意義を明かした。

 一方、大川氏も「まさにスポンサーの問題もそうなのですが、ずっと日本のアニメビジネスは、ブルーレイとDVDで回収を含めてビジネスをしてきた。なかなか、その(資金)回収のシステムから逃げられない時代が長かった。ブルーレイとDVDが売れることは(業界として)良いことなのですが、すばらしいアニメーション作品だけれどもブルーレイ、キャラクターグッズが売れないこともある。そうすると、すばらしいアニメーションが、なかなか作れなくなるのです」と面白い作品が世に出にくくなっていると伝えた。

 Netflixのような動画配信が世にもたらす変化とアニメ業界への影響について樹林氏は「直接ダイレクトにグローバルに作品を出せる時代になった。これからはスピードが勝負。なんでもそうなのですが、スピードは速い方が絶対いい。なぜかというと、僕らは時代の一歩先でモノづくりをしていて、その作品が5年後とかに世に出されたら時代遅れなんですよね」と、世界へ作品を世に出す際に無駄な壁がないメリットを歓迎。

 大川氏も「今ちょうど、(アニメ業界が)変わっていく節目なのかなと思います。アニメーション制作は時間とお金が掛かる。映画やテレビ化する際は、制作委員会方式を取ることが多かった。もちろん悪いことではないのですが、いろんな人の意見が入ってしまい、制作会社が『この監督に任せたい』と思っても自由にできなかったり、委員会側がコントロールする場合が多かった」と時代の流れを分析した。