アカデミー賞受賞「パラサイト」ポン・ジュノ監督、来日会見「熱く反応してくださった日本の皆さまに感謝を申し上げたい」

引用元:スポーツ報知
アカデミー賞受賞「パラサイト」ポン・ジュノ監督、来日会見「熱く反応してくださった日本の皆さまに感謝を申し上げたい」

 第92回アカデミー賞で、外国語映画で史上初の作品賞を獲得した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督(50)が23日、東京・内幸町の日本記者クラブで主演俳優のソン・ガンホ(53)と来日記者会見を行った。「賞を受賞したことはとても喜ばしく、光栄なこと。どの国の方々も熱く受け入れてくれたことを、何よりも感謝しています」と語った。

 半地下住宅に暮らす貧しい4人家族。IT企業のCEOの家庭に身分を偽って“就職”し、徐々にパラサイト(寄生)していく―。韓国の格差社会を、ユーモアを交えながらスリリングに描き、アカデミー賞では作品賞に加えて、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞(旧外国語映画賞)の4冠を達成した。第72回カンヌ国際映画祭でも韓国映画初となる最高賞「パルム・ドール」を獲得し、アカデミーとのダブル受賞は米映画「マーティ」(デルバート・マン監督)が1956年に受賞して以来、64年ぶり。

 ポン・ジュノ監督は受賞理由を「後半の展開が面白い、新鮮だったという意見を多く耳にしたような気がします。そして、俳優による魅力も大きかった。感情や表現が万国共通語として皆さまに届いた」と分析した。

 歴史的快挙を受けて、日本でも“パラサイト旋風”が起こっている。22日付けで220万人を動員し、興行収入は30億円を突破。日本における韓国映画の興収歴代1位に輝いた。ポン・ジュノ監督も「劇場で熱く反応してくださった日本の皆さまに感謝を申し上げたい」と、日本での評判の高さを喜んだ。

 邦画業界にも言及。「個人的に親しくさせてもらっている監督が多くいます。日本は長い映画の伝統、歴史を持っています。優れた監督がいる、歴史的な存在な監督がいる日本という第一印象を持っています」といい、好きな日本人監督に今村昌平監督、是枝裕和監督らの名を挙げた。さらに、「日本は漫画やアニメにより焦点があてられるかもしれない。ただ、私個人としては日本の監督たちの幅広い世界に興奮します」と語った。

 ◆ポン・ジュノ 1969年9月14日、韓国・大邱広域市生まれ。50歳。延世大社会学科卒業後、韓国映画アカデミーで映画制作を学ぶ。脚本も手掛けた2000年公開の「ほえる犬は噛まない」で長編監督デビュー。2作目の「殺人の追憶」(03年)で注目され、「グエムル―漢江の怪物―」(06年)は当時の韓国動員歴代1位の大ヒットに。「母なる証明」(09年)で国内外で20以上の映画賞を受賞。 報知新聞社