どれをとっても最高! 東京・外苑前「傳」のホスピタリティーに感動 こだわりの極意

引用元:夕刊フジ

 【こだわりの極意】

 こんなすごい店ある? 東京・外苑前の「傳(でん)」は、現在絶賛オンエア中のBSフジ「パレドZ~おいしさの未来~」でロケをさせてもらったお店。僕はそれこそ完全に初めてで、その番組のキュレーターとして訪れ、そのシェフが作る“未来に遺すべき一皿”を食べるという三石寛太(ミツカンさん1社提供。ミツイシカンタ略してミツカン!)という架空の人物。

 で、だ! たったの1度訪れた僕に「ロケでお世話になったのでお席ご用意しました」との知らせが! もちろん期待に胸をふくらませ、喜び勇んで行ったわけだが、そこから想像を絶する料理人、長谷川在佑(ざいゆう)劇場が始まる。

 まず箸を見て驚く! 箸止めには何とパレドZを忠実に再現した手書きのロゴが! えええ?! と思ったのも束の間、次に長谷川さんが差し出したものはまるでケンタッキーを模したかのような箱。

 この店では“傳タッキー”と呼んでいるそうだが「なんか僕が作るより、この人のほうがうまく揚がってるんですよね…」と言い残して厨房(ちゅうぼう)へ去る長谷川さん。

 ん? 何を言ってるんだと思いながら箱を見れば、そ、そこには長谷川さんの半身の姿の転写に、ぼ、僕の顔が!!!

 えええ?! 僕のために、ここまで! 今まで「いや~ごちそうさまでした。感動しました!」と言ったことは何度もあるが、食べてる最中に胸が熱くなって、席で声を上げて泣きそうになったのは初めてでした。

 これぞ、世界最高のホスピタリティー。ここは全世界のシェフから尊敬され、全世界のシェフが修行に来たいと懇願する店。今まで数々の賞も取っている。

 でも、そんなことはもはや関係ない。傳の長谷川さんを頂点としたすべての料理人、そして、そこで働くすべてのスタッフの心配りこそが形ではないゴールドメダルだ。

 賞を超えるものこそが究極のおもてなし。味はもちろんのこと、素材から調理法まで、すべてが素晴らしい。酒も安い高いではないマッチングの素晴らしさ。誰に対しても全身全霊のフロアスタッフの対応、それでいて底抜けに明るい店の雰囲気。どれをとっても最高の高!

 食事を終え、帰路につき奥さんが寝静まった夜中。自分のこれまでのお客さまへのサービス精神をひとり振り返り、打ちひしがれた貴重な夜でした。

 ■高嶋政宏(たかしま・まさひろ) 1965年10月29日生まれ。東京都出身。87年、映画「トットチャンネル」で俳優デビュー。映画「AI崩壊」が公開中。また、CS旅チャンネルで「高嶋政宏の旅番長“激動!ベトナム縦断編”」が放送中。

 今回紹介の「傳」は東京都渋谷区神宮前2の3の18 建築家会館JIA館。