『麒麟がくる』丁寧に描く鉄砲導入 “本能寺で生産”は「想像の範囲内では…」

『麒麟がくる』丁寧に描く鉄砲導入 “本能寺で生産”は「想像の範囲内では…」

俳優の長谷川博己が主演を務めるNHK大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜20:00~)で、第1回から丁寧に描かれているのが、鉄砲にまつわるエピソードだ。戦における“キラーコンテンツ”である鉄砲にご執心なのは、斎藤道三だけではなさそうだ。第5回でもこの鉄砲にまつわるエピソードが展開された。

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斎藤道三(本木雅弘)の命を受けた光秀は、鉄砲の作り方だけではなく、なぜ将軍家が鉄砲を大量に必要としているのかを探るべく、再び京へ。腕利きの鉄砲鍛冶・伊平次(玉置玲央)がいるという情報を得て本能寺へやってきた光秀は、将軍・足利義輝(向井理)の護衛でやってきた三淵藤英(谷原章介)や松永久秀(吉田鋼太郎)と再会した。

脚本を手掛けたのは、大河ドラマ『太平記』(91)の池端俊策氏だが、『信長公記』をはじめ、あらゆる資料を読み込み、史実を踏まえつつもドラマティックなストーリーを紡いでいる。果たして、鉄砲にまつわるエピソードは、どこまで史実に忠実なのか?

第5回を演出した藤並英樹氏によると「いろんな諸説がありますし、本能寺で鉄砲が作られていたかどうかという確固たる事実についてはわからないんです。その設定は番組上、創作ではあるけれども、時代考証の小和田哲男先生によると、あの時代の本能寺はすごいネットワークを持っていたので、そういったことをしていたとしても、想像の範囲内では許されるということで、池端さんが描いてくださいました」

第5回では京都の権力闘争についても語られ、その中で鉄砲の抑止力についても説かれた点が新鮮だ。光秀は、人々が血を流す戦を避けたいと常に考えているが、彼は単なる平和主義者ではないと、藤並氏は捉えている。

「光秀は常に秩序を保つ世界を望んでいるのではないかと。それは、室町幕府のようなものがしっかりとあって、領民を守ったり、土地を守ったりできる社会。平和を望むというよりは、秩序がちゃんとしている“平らかな世”にしていきたいと思っているんです。だから、将軍や幕府に対する思いがどんどん膨らんでいきますし、そこについては、池端先生ともお話をしています。松永と光秀が語るシーンでは、そこを明確にわかるようにしたかった」

実際に、現在の滋賀県長浜市国友町にあたる国友村は、鉄砲の生産地として知られている。「大河ドラマ紀行にも出てきますが、そこで国友村の鉄砲の歴史についても語られます」とのことなので、実に興味深い。

ちなみに、腕利きの鉄砲鍛冶・伊平次はオリジナルキャラクターだが、舞台俳優として人気を博す玉置玲央が、生き生きと同役を演じている。玉置は、大杉漣さんの主演映画『教誨師』(18)で「第73回毎日映画コンクール」スポニチグランプリ新人賞を受賞している注目株だ。

藤並氏は玉置について「僕がドラマに入る前に、玉置さんの舞台を観に行っていて、いつか一緒にお芝居をしてみたいなと思っていました。今回ご一緒できましたが、舞台の経験が長い方なので、いろいろディスカッションをしながらキャラクターを作っていった感じです。伊平次は、ある種の新兵器の改造に携われるくらいの技術は持った人。頭は良くないけど、手先が器用で、地方都市にいそうなお兄ちゃんというイメージで、演じてもらいました」と明かした。

(C)NHK 山崎伸子