和久津晶「勝ったり負けたり」の精神で3勝目 脈々と受け継がれる“ミスター麻雀”小島武夫イズム/麻雀・Mリーグ

引用元:AbemaTIMES
和久津晶「勝ったり負けたり」の精神で3勝目 脈々と受け継がれる“ミスター麻雀”小島武夫イズム/麻雀・Mリーグ

 大和証券Mリーグ2019・2月11日の2回戦で、セガサミーフェニックス・和久津晶(連盟)が個人3勝目、チーム21勝目を挙げた。

【映像】和久津晶にも受け継がれた小島武夫イズム 笑顔の個人3勝目

 対局者は起家からTEAM雷電・萩原聖人(連盟)、和久津、赤坂ドリブンズ・丸山奏子(最高位戦)、U-NEXT Pirates・石橋伸洋(最高位戦)。

 オーラスとなった南4局、和久津はトップ目だった萩原までわずか300点差の2着目につけていた。チームは首位を快走しているとはいえ、和久津自身は個人スコア29人中28位と勝利を渇望していた。

 だがオーラスは何が起こるか予断は許さない。テンパイするまでは「切ってはいけない」とドラの9筒を手牌に置いていたが、7巡目に七対子のテンパイを入れると「アガりたかったら9筒を切らなきゃダメ」と誰もが使いたい9筒を切り、4筒待ちに構えた。実際9筒は山にゼロ、4筒は3枚残りだった。そして10巡目に4筒をツモり上げ、逆転トップで3勝目をもぎ取った。

 今期Mリーグでは開幕以降、武器としていた押し引きバランスに迷いが生じ、一時は個人スコア最下位にまで落ち込むほど勝てない日々が続いた。和久津が今シーズン初トップを決めたのは、開幕から約3カ月経った2019年12月20日。29人中29番目の初勝利だったこともあり、多くのファンが涙した。

 所属団体である日本プロ麻雀連盟では、最高峰リーグであるAリーグにまで登り詰めた実績を持つ実力者は「麻雀なんで負ける時もあるし、勝つ時もあるので、いちいち気にするな」と同団体の先達たちから言われていたことが心の支えだったと勝利者インタビューで明かした。この励ましのおかげで、苦しみ抜いた時間を「負けて当たり前なんだ」と捉えられたことで、この日は落ち着いて打つことが出来ていたと先達に改めて感謝した。

 「麻雀は勝ったり負けたり」。先輩たちから伝えられたこの言葉は、華のある打ち筋と豪放磊落な生き様で“ミスター麻雀”と親しまれた小島武夫さん(享年82歳)がサイン色紙に書いていた言葉である。

 「魅せる麻雀」を生涯まっとうした小島は、フジテレビ「THEわれめDEポン」では、単にアガるためだけの麻雀は打たず、最低でも満貫以上の手を目指してアガリなし。CS放送・MONDO TV「モンド麻雀プロリーグ名人戦」では、8巡目に役満・九蓮宝橙を成就するなど数々の伝説を残し、令和となった現在も、多くの麻雀ファンに愛されている。

 「プロとは何か?」。常に自問自答を繰り返し、格好良く美しく打つためにストイックなまでに己を鍛え上げ、この日は普通の髪の毛とドレッドが入り混じるパーシャルドレッドで対局に臨んだ和久津にも、小島武夫イズムは脈々と受け継がれている。この勝利で、チームはプラスポイント400超え。どん底から這い上がってきた和久津が刻むであろう伝説は、まだ始まったばかりだ。【福山純生(雀聖アワー)】

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